著者は、現在3つの保育園の理事長を務め、幼児教育、学童保育に携わって
おり、TV番組「エチカの鏡」でも紹介されたことで一躍脚光を強く浴びるよう
になった「ヨコミネ式」教育を創り出した方である。
「ヨコミネ式」教育とは、著者の30余年にわたる、児童や幼児の観察を通して
得られた「経験」に基づいて創り出したものである。その方針ははっきりしていて、
揺るぎのないものである。具体的には、子どものやる気を高める4つの方針
(本書の中では「4つのやる気スイッチ」と紹介)を基盤にして、子どもが秘めた
非常に高い可能性を信じることが基盤にある。
「読み・書き・計算・キーボード」を毎日20〜30分ずつ「欠かさず」行い、それが
終われば、自由に遊ばせる。その遊びは、人それぞれで、園庭で思いっきり体を
動かすことから、室内で英語の勉強をすることまで含まれる。
経験を大切にして、経験から学ばせることを重要視する。園児が何かに挑戦する
時、また失敗した時は、大人は極力手は貸さない。そうやって、強い心も養って
いく。このやり方は極めてシンプルであり、昔ながらの日本教育のよさを引き継ぎ
現在の親の「過保護」ぎみな子育てには、正面からNOを突きつける。というのも、
著者は、子どもが「自立」し、一人で生きていけることを重要視しているからである。
著者が述べている内容は、あくまで著者ご自身の教育経験から「子どもを伸ばす」と
信じたことであり、そこに科学的・学術的な裏付けはない。しかし、著者の主張の
ほとんどは、脳科学や発達心理学といった学術分野の研究で成果が出ていることと
結果的には軌を一にしていることは、注目すべきことだろう。
新書で200ページ弱の分量であり、読みやすく、初めて「ヨコミネ式」教育をお知
りになりたい方にはピッタリの本である。