昨今のブームのせいか、コーチングの本は多数出ているが、本書は実際の場面でありそうなシチュエーションも織り込みながら、平易な文章で説明してくれるので、非常にわかりやすい。しかも新書で求めやすいのがよい。電車の中でも十分勉強できる手軽さだ。
何かのキーワードがブームのときは、マーケティングにも載せられて、ついつい「○○は万能」、「△△ができれば全て解決」などと、過信してしまいそうだが、本書では、コーチングにも限界があることも、きちんと述べられている。そのあたりも本書を安心して読める理由かもしれない。
「コーチングに必要な人間観とは、相手は『答』をもっていると信じること」と、著者はいう。答えはその人の中にある、というのは、営業やコンサルティングの世界でもいえる(答えはクライアントが持っている)ことだが、上司が部下との関係でそれを意識するのは、容易ではない。
それは「人は感情で動く」これが理解できないリーダーが少なくないからだ。特に自分のスキルに自信がある場合は、細かい指導に走り、逆に自信がないときに、部下に先を越されることを怖れて、管理を強化する。こういう心の狭さも上司部下間のコーチングを難しくする。基本的には人間ができていないと、コーチングの哲学もスキルも身につかないし、そもそもそんな人には、誰もコーチしてもらおうとは思わないのだ。肝に銘じたい。