中国に関する多くの著作を持つ親日家の黄文雄氏の最新作である。著者は極めて多作であり、すべてを買う気にはならないのだが、数ある中国批判の著作の中でも「日中戦争」にテーマを絞ったものだったので読んでみることにした。
帝国主義の時代において、アジアを列強(特にロア)の進出から守るために、国家の体を成していなかった中国に代わって満州を確保した日本は、各地の軍閥間の権力争いとそれを陰で支援する米英、ロシアとの三つ巴の内戦にずるずると引き込まれ、結局アメリカに破れてしまう。
敗戦国であるがゆえに戦後一方的に悪者にされてきたが、日本の中国進出当時の中国という社会がどれほど庶民にとって苛酷なものだったか、そして日本の統治によって治安が見違えるほど良くなったことで庶民にどれほど歓迎されたことか、日本が満州で行ったインフラの整備でどれだけ中国の近代化に貢献したかが述べられている。
この本のもう一つのテーマが、反日の正体である。
日本に習って国家改造を日本の指導のもとに行い、近代化の道を歩み始めると今までは存在しなかったナショナリズムが芽生え始め、指導に当たっていた日本人を排斥しようという動きが出て来た。それを利用して自分たちの目的を果たそうともくろんだアメリカ、共産党が反日を煽ったのが始まりである。そして戦後は中国の支配者となった共産党が自らの正当性を証明するためと、多民族国家中国をまとめるため、外に敵を作るという常套手段の標的に日本がされた、というのがその正体である。
中国との間に横たわるいわゆる外交問題(実際は外交問題ではないのだが)を考えるに当たっては、この本に書かれている真実の歴史を正しく認識することが必要条件である。そうでないと日本の外務省のように中国に不要の、そして取り返しの付かない譲歩をしてしまうことになるのである。「中国人は柔らかい土を掘る」のだから。