この本は小学生の生活版、私小説です。小学生の日常の一コマをとても色鮮やかに切り取っています。短編の積み重ねで鮮やかな色彩が七色に輝く手法です。
主人公はずっと同じですが、主人公に絡んでくる子供たちの描き方が絶妙で、主人公本人の成長とともに主人公の友人達の成長も描いています。
とても素敵ないい小説なんですが、モティーフとして使われている「川」のイメージそのままに、流れるようにさらさらと読めてあまり引っかからない文章です。著者の強い個性が感じづらい。主人公本人が立ち回るというよりは、周囲を冷静に眺めて観察している、ごく日常的、現実的で、動きが少ない小説です。
つまり、大人や、中学生くらいの、小学生時代を郷愁をもって懐かしむ世代に受ける本で、小学生本人は読まない可能性が高い、と。いい本なんですよ。対象とする読者が小学生ではないということです。