冒頭の文章が大好きだ。自分がいかに「ふつう」を大事にしているかを語り、みんなと同じであることのすばらしさを、すがすがしく説く。制服ばんざい。「自分らしさ」なんかあえて求めるものではない。求めればおそらく「自分」の泥沼にはまり込む。そういうことを、この人はよくわかっているなあと思った。
と、はじめに自己の価値の基本を確認しておいてから、しかし、ひっくりかえす。恋愛の仕方に「ふつう」はないみたい。そこに突入すればみな、「自分」をさらけだしてしまうのだから。あるいは、日常をはなれて遠くに旅行にいってみる。その土地ごとに異なる「ふつう」がまっている。ここで、「ふつう」は投げ出される。
で、とりあえず聞いてみるわけだ。「今、何してる?」と。このくだりで、思いっきり感動してしまった。「ふつう」が一番なんだけど、相手がどんな「自分」で、どの「ふつう」を生きているのかは、いつも巨大な謎である。だから、よくわからないかもしれない、されど気持ちをかよわせたい相手に、さしあたりの彼氏彼女の状況をたずねてみる。相手の中味はとりあえずおいておく。
「今、何してる?」。この言葉にこめられているのは、現代人の最も洗練された、人付き合いのルールではないだろうか。