店頭で見て〈設定の面白さ〉に魅かれて衝動買いしました。と言っても、詳しいことは分からず、腰巻にあったのは、「死ねないのよ。どうしたって死ねないのよ!---怪奇と狂気に彩られた情念の世界…25歳のまま、300年生き続けるという女に、私の人生は絡めとられてしまった」。それだけで十分面白そうではありませんか。
元ネタは当然「八百比丘尼」伝説です。人魚の肉を食べたために800年生きたという、あれです。若いまま不老不死の長い人生を送れるというのは一見幸福なように思えますし、一種仙人のような超人的境地のような印象を持っていたのですが、この作品で描かれるのはとんでもなく異様なモンスターです。その理由は、時間の流れと人間社会から取り残される孤独と疎外感の恐怖と苦悩であって、それ故の邪悪さ、という訳です。なるほど、そういう解釈もあり得るか、と感心はしました。でもまぁ、そこまでかな。
読ませる力はそこそこあるのです。が、ストーリー展開にはかなり無理があり、いわゆる「ご都合主義的展開」なんですね。その根拠は「人魚の肉によって獲得した魔力」で済んでしまうので、文句の付けようが無いと言えば確かに無いのです。なんてったってファンタジーなんですから。それにしてもちょっと不自然すぎ、の感は否めません。文章もあまり上手くないので、成功しているとは言い難いのです。というわけであまりお薦めできません。