人類の歴史に関する本は最近たくさん出ているようです。この本は専門家が系統だってかつ分かりやすく書いているのが特徴です。著者の言う「知の遺産仮説」という遠大な展望をもとに、人類の歴史が繰り広げられます。アフリカを出て最後の南太平洋までたどりつくと、現生人類のたどった遙かな道筋が目の前に広がるようです。
周囲の自然が、それを初めて見た人類たちがどう見たのか、と周りを見る目も違ってきます。
広汎な知識を、情熱的に説くということは、希にしかみられない出来事です。著者の広い知識、実地の調査経験、そして人類の多様性への畏敬の念がにじみ出た好著だと思います。人類考古学のバランスがとれて、読み物として優れた書籍で、今後読み継がれるでしょう。他のジャーナリストたちの書いた入門書とはひと味違います。著者の勤務する博物館の展示企画の副産物として書かれた書物とのことで、国立科学博物館の展示も是非見てみたいですね。