本書は、『人間関係がラクになる心理学』(PHP文庫)を再編集したものである。
著者は、カウンセリング心理学の分野の大家であり、学校教育等に携わっている
方は、「構成的グループエンカウンター」の分野でご存知の方も多いことだろう。
本書の構成は、人間関係における基本的な重要概念、好ましい人間関係を築く
方法、悩みの解消方法、力強く生きるコツ、人間関係の悩みでよくある相談等
について、50の項目を取り上げ、それぞれをおよそ4ページの分量で解説した
ものである。「本を読むことでカウンセリングを受けたくらいの効果が得られる」
(p. 2)を目的として書かれたものであり、理論的な基盤は著者のご専門である
カウンセリング心理学が取り入れられている。
具体的な内容としては、自己開示の重要性、「ギブアンドテイク」のコツ、行動
の許容範囲、自己卑下の不必要性、決断力の養成法、信頼されているかを知る
方法、「超自我」を持つことの強み等に加え、最後の5章には、「落ち込みがち」
「グループに溶け込めない」「人前でじょうずに話す方法は?」等といった相談
でよくある内容がいくつか取り上げられている。
非常に読みやすくまとめられている上、安価なのも嬉しい。
また、本書では50項目が取り上げられているものの、その「各論」を通読していくと、
人間関係を良好に保つためには、自分とはどういう人間なのかということや、自分
の目指す方向性等といった「自己理解」の重要性等が共通項として浮かび上がって
くる印象も受ける。自分なりに浮かび上がってきた共通項を人間関係構築に活かす
というのも一案であろう。
著者のアドバイスは、理論に基づいたものであるため、今本当に深く悩んでエネルギー
が落ちていらっしゃる方よりは、今よりもよりよい人間関係を構築したいというエネ
ルギーをお持ちの方の方が、得るものが大きいと思われる。