本書は「週刊新潮」に連載されていた池田晶子さんのエセー「人間自身」、および「ランティエ」ほかの連載を収録したものです。
これまで刊行された「41歳からの哲学」シリーズの3冊目(完結)にあたります。
遺稿である「墓碑銘」を含め、その哲学エセーを読むにつけ、池田さんは最後の最後まで思索する精神であり、孤立無援の中で己の道を全うした存在だということがわかります。(蛇足ながら本書収録「混浴の温泉場」にて絶筆されたそうです)
本書の中には敬愛する故人・小林秀雄氏にあてた手紙も掲載されています。(これまでも何度か書かれています)
その中で、氏をさして「考えることと生きることと書くことの完璧な合致」と書かれていますが、これは池田さんについてもそのままあてはまることだと思います。
「自らを精神と自覚する者にとって、自らの内奥深く呼応する精神が、北極星のようにそこに立っているのを見出し、どうして魅了されないことがありましょうか。」(本書収録「小林秀雄 様」)
存在の奇跡性、そしてその絶対不可解について、言葉をつくして最後まで考え続けた池田さんの姿は、現代の賢しらな論壇や哲学アカデミズムを超えて、普遍的な輝きを放っています。