独特の作風で知られる作家・山田風太郎が、英雄、武将、政治家、作家、芸術家、芸能人など923名の臨終の有様を、容赦のない筆致で描き出し、亡くなった年齢の若い順から並べた『人間臨終図巻』(山田風太郎著、徳間文庫、全4巻)は、一読に値する。
風太郎の「いろいろあったが、死んでみりゃあ、なんてこった、はじめから居なかったのとおんなじじゃないか、みなの衆」という言葉は、妙に説得力がある。例外なく、否応なしに、死は全ての人間に訪れるが、このように考えると少しばかり気が楽になる。
英国の批評家・エッセイスト、ウィリアム・ハズリットが『テーブル・トーク』の中の「死の恐怖」に記した「かつて自分が存在しない時があったことなど、誰も気にしない。とすれば、自分がいなくなる時が来ることも、何でもないはずだ」という一節も、風太郎と同じことを言っている。