カール・ロジャーズの生涯で最後の単著本。私がこの訳本を最初に読んだときには、老境にさしかかったロジャーズお爺ちゃんの「雑記帳」という感じを受けた。それくらい、全体としてのまとまりが見出せなかった。
ところが、後で気づいたことがある。それは原著のタイトルがA Way of Being(ひとつの在り方)というものであるという事実だ。ロジャーズは晩年、いわゆるスピリチュアルな側面に注目していたというのは周知の事実である。それがA Way of Beingというタイトルに集約されている。日本語訳はなぜ『人間尊重の心理学』などという、七変化を遂げてしまったのか?変化の中で、原著が持っていたひとつの体系が見えにくくなってしまっていないか?私も含め、ロジャーズに親しむ者が今後考えてみたいテーマだと思う。