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この作品もそうだ。物語は津島が佐藤・山田に感化されて「アカ(=共産主義者)」の運動に加わるところからはじまる。その「地主の子」である津島はそのことで常に悩み続けるのだが、昭和19年から21年にかけて、その悩みも置いて行くかのように時代は変動する。ふと津島は、戦争が終わって時代は変わったはずなのに、実際には理想と程遠いことに気づく。自分たちが「これでいいのか!」と訴えていた戦前と何も変わっていない、「自分かわいさ」がまかり通っていたのだ。
物語の中には、当時の言葉や太宰治の作品をもじったものが数多く登場する。もちろんそれらを紐解いていくのも一つの楽しみだが、作者が篭めたさらに大きなメッセージ、「これでいいのか!」と問い続けることの重要性を、作品全体を通して感じられると思う。
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