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人間合格
 
 

人間合格 [単行本]

井上 ひさし
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

いずれ劣らぬお道化者。共産党員、役者、そして小説家。大戦前夜から大戦争の時代へ、そして敗戦、民主主義の時代へ。三人の友情は不思議な綱渡りを繰り広げる。太宰治をめぐる愛と友情の爆笑記!

内容(「BOOK」データベースより)

昭和5年(1930)4月下旬。東京高田馬場に近い学生下宿で3人の青年が知り合った。青森の大地主を兄とする帝大生津島修治、新劇研究生の山田定一、そして非合法運動の活動家の佐藤浩蔵の3人である。エログロナンセンスからテロの時代へ、さらに非常時の時代から大戦争の時代へ、そして敗戦、「民主主義」の時代へ。史上空前の激動の20年間、この3人の友情はふしぎな綱渡りをしながらつづいて行く。むろん津島修治とは太宰治のことである。

登録情報

  • 単行本: 240ページ
  • 出版社: 集英社 (1990/3/5)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4087727335
  • ISBN-13: 978-4087727333
  • 発売日: 1990/3/5
  • 商品の寸法: 17.6 x 11.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 330,058位 (本のベストセラーを見る)
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形式:単行本
 井上ひさしの戯曲の中で歴史上の事件を主題にしたものは、よく「評伝劇」と呼ばれる。全体的にコメディータッチで、主人公は有名な人物のことも、無名あるいは架空の人物のこともあるが、それらは単なる「伝記」ではなく、そこに必ず何らかのメッセージが含まれている。

 この作品もそうだ。物語は津島が佐藤・山田に感化されて「アカ(=共産主義者)」の運動に加わるところからはじまる。その「地主の子」である津島はそのことで常に悩み続けるのだが、昭和19年から21年にかけて、その悩みも置いて行くかのように時代は変動する。ふと津島は、戦争が終わって時代は変わったはずなのに、実際には理想と程遠いことに気づく。自分たちが「これでいいのか!」と訴えていた戦前と何も変わっていない、「自分かわいさ」がまかり通っていたのだ。

 物語の中には、当時の言葉や太宰治の作品をもじったものが数多く登場する。もちろんそれらを紐解いていくのも一つの楽しみだが、作者が篭めたさらに大きなメッセージ、「これでいいのか!」と問い続けることの重要性を、作品全体を通して感じられると思う。

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太宰の祈り 2008/5/29
形式:単行本
 『太宰治に聞く』と合わせて読むことをおすすめしたい本です。井上さんは『太宰治に聞く』のなかで、太宰が共産主義運動に加担したのは、〈青春のはしか〉とは言い切れないのではないか、と言っていました。また、太宰の「葉」という作品に「役者になりたい」という言葉があることを紹介しています。さらに、キリスト教の三位一体の観念を紹介してもいます。
 以上の三点を踏まえて『人間合格』を読むと、津島(作家)、山田(役者)、佐藤(共産主義者)の三人は三人ながら一人の人物、――そう、太宰治をたとえたものではないかと思えてきます。佐藤が偽名として使用する名前が、太宰のペンネームだったり、作中人物の名前だったりするのは、その証左ではないでしょうか。
 『聖書』は古今東西の作家の共同牧草地なんだ。
 井上さんは、津島にそんなことを言わせています。太宰の言う「男子一生の業」(「鴎」)と、この言葉とは深く関わり合っているのではないかと思います。太宰は世界の文学を読み、『聖書』を読みました。そこで彼は発見したのではないでしょうか。世界の文学の根柢には『聖書』が流れていることを。先人達は『聖書』をいかに自分の言葉に〈翻訳〉し、自分の文学に定着させるかに腐心し、〈一生の業〉としたことを。「目から、うろこのようなものが落ち」た(「使徒行伝」第九章第十八節)太宰は、自分もまた、『聖書』を自己の文学に〈翻訳〉、定着しようと決意したのではないでしょうか。読者が太宰の作品を読む、その行為は太宰の〈翻訳〉した『聖書』を読むことではないでしょうか。太宰は自分の文学を通して、世界が一つにつながることを祈っていたのではないでしょうか。『人間合格』を読み、そんなことを感じました。
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