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人間・この劇的なるもの (新潮文庫)
 
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人間・この劇的なるもの (新潮文庫) [文庫]

福田 恆存
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

人間はただ生きることを欲しているのではない。現実の生活とはべつの次元に、意識の生活があるのだ。それに関らずには、いかなる人生論も幸福論もなりたたぬ。―胸に響く、人間の本質を捉えた言葉の数々。自由ということ、個性ということ、幸福ということ…悩ましい複雑な感情を、「劇的な人間存在」というキーワードで、解き明かす。「生」に迷える若き日に必携の不朽の人間論。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

福田 恆存
1912‐1994。東京本郷に生まれる。東京大学英文科を卒業。中学教師、編集者などを経て、日本語教育振興会に勤める傍らロレンスの『アポカリプス』の翻訳や芥川龍之介論などの文芸評論を手がける。戦後は、評論『近代の宿命』『小説の運命』等を刊行。また、国語問題に関して歴史的仮名遺い擁護の立場で論じた『私の國語教室』がある。訳業に『シェイクスピア全集』(読売文学賞受賞)の他、ワイルド、ロレンス、エリオット、ヘミングウェイ作品等がある。劇作家、演出家として劇団「昴」を主宰し、演劇活動も行なう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 174ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (2008/01)
  • ISBN-10: 4101216029
  • ISBN-13: 978-4101216027
  • 発売日: 2008/01
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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By MAS VINE™ メンバー
形式:文庫
昭和期を代表する文芸評論家の一人である氏の、評論の代表作といえる作品である。
氏にはシェイクスピアの翻訳を中心とした演劇関係の業績も多いが、本著は「演ずる」ことをテーマに、
文芸・演劇評論から文明論へとその視野を一気に飛躍させた論陣を展開している。
そこには、自由と平等、人権といった近代的諸価値、あるいはヒューマニズムとは全く異なる立場からの、
「演劇」=「擬制」としての人間社会、なかんずく人間存在への理解が貫徹されており、
戦後社会を支配した諸価値に対する強烈な懐疑と抵抗が敢然と示されている。
この様なささやかな文庫には収まりきらない叡智の塊が垣間見える一作であり、
是非ともこれを機に、氏の言論に一つでも多く触れてほしいものである。
唯一残念なのは、現代語表記になっていること。
戦後改革、特に国語「改革」を徹底的に批判した氏の文章は、やはり正字正仮名で書かれてこそ、
故人の真意に適うと思うのだが、如何だろうか。
このレビューは参考になりましたか?
21 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
個性の尊重、自由に生きることの大切さ・・・・

学校で学んできたこれらの価値観を抱いて

社会に出て行ったはいいものの、

なんだか、社会はそのようにはなっていないようだ。

学んできたことは、単なる「建前」であり、

現実は、厳しいということなのだろうか?

そういうことではなくて、もっと根本から

間違っていた可能性はないだろうか・・・・?

「・・・ひとは自由について語る。・・・

・・・私たちが真に求めているのものは自由ではない。」

それでは何なのか・・・・

必然性とは? 役割りとは?

「自由とは、所詮、奴隷の思想ではないか。」

などなど、刺激的な言葉が満載。

一生かけて読んでいく本であると感じます。

星5つでは、足りません。
このレビューは参考になりましたか?
13 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
私たちは本を読もうとするとき、必ずいくらかはその「結論」を知っている。
本屋で何千冊という本からその一冊を手に取ったとき、
そこには「自分がその本を選択した理由」が必ず含まれているからだ。
  昨今のレビューの発達と、「教養主義的な」読書ブームによって、その結論を知ることはますます容易になった。
適当な月刊総合誌を開けば、「読むべき本」から「どのような内容」を読み取れば「教養になるのか」が簡潔にまとめられている。
 本書も、そのような「教養的読書のススメ」の一冊にたびたびまぎれている。
それらは、次のような抜書きとともに紹介されることが多い。

 「自然のままに生きろという。だが、これほど誤解された言葉もない程度の差こそあれ、
誰もが、なにかの役割を演じたがっている。
また演じてもいる。ただ、それを意識していないだけだ。」(P15)
 「舞台をつくるためには、私たちは多少とも自己を偽らなくてはいけないのである。
堪え難いことだ、と青年は言う。自己の自然のままにふるまい、個性を伸張せしめること、それが大事だという。
が、かれらはめいめいの個性を自然のままに生かしているのだろうかかれらはたんに
『青春の個性』というありきたりの役割を演じているのではないだろうか。
私にはそれだけのこととしかおもえない。」(P16)

 これらを読んで「自分さがし」や「自己実現」を求める今時の若者を批判することは簡単だ。
しかしながら、著者はこのような「データベース的」に「主張」が「活用」されることを望んではいないだろう。
そして瞬間また「反個性」という役割を反復しているに堕してしまうからだ。

「今日、私たちは、あまりにも全体を鳥瞰しすぎる。
いや、全体が見えるという錯覚に甘えすぎている。
全体が見通せた瞬間、全体という観念が消滅する。知識も知恵消失する。
そこには、すべてを知るものの無智があるだけだ。」(P36)
 
 著者は、随所で私たちが主張に共感したくなるたびに冷水を浴びせる。
本書は役に立って、データベース化できる、そんな今日的知識は提供してくれない。
 本書の内容は、人生の中にある実感を通して獲得するしかない。
「絶対的なものに迫って、自我の枠を見出」そうとすることでしかそれはなしえない。

 大学入学時、いわゆる「教養主義的」この本を読んだ私は、そのことが分かっていなかった。
「もっとわかりやすく・具体的」な記述を、受験現代文に取り組むがごとく読解していた私には、
本書をほどんど理解できなかった。その後、数年間に堆積されたわずかばかりの「実感」によって、
例えば冒頭の「青春の個性への執着」のようなことが、納得できるようになってきた。

 この本は薄く2時間もあれば、読み終える。
だが、いつもこの本を携え、人生の中で少しずつ実感していくことで、
初めてこの本を読み終えたといえるのではないだろうか。
 そういう風な非効率な読書がこの本にはふさわしい。
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