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人間の條件〈上〉 (岩波現代文庫)
 
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人間の條件〈上〉 (岩波現代文庫) [文庫]

五味川 純平
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

珍しく棉のような雪が静かに舞い降りる宵闇、一九四三年の満洲で梶と美千子の愛の物語がはじまる。植民地に生きる日本知識人の苦悶、良心と恐怖の葛藤、軍隊での暴力と屈辱、すべての愛と希望を濁流のように押し流す戦争…「魂の底揺れする迫力」と評された戦後文学の記念碑的傑作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

五味川 純平
一九一六―九五年。作家。中国大連に近い寒村に生まれる。三三年大連一中卒業。満鉄奨学資金給付生となり、東京商科大学予科入学するも、中退。東京外国語学校英語部文科卒業。旧満州の昭和製鋼所入社。四三年招集され、ソ満国境を転戦、捕虜となり、四八年帰国(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 583ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2005/1/18)
  • ISBN-10: 4006020872
  • ISBN-13: 978-4006020873
  • 発売日: 2005/1/18
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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45 人中、41人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 戦地から復員間もない五味川純平は、この作品を一気呵成に書き上げるやその数千枚の原稿を出版社に持ち込み、編集者はそれに魅入られたかのように一晩で読了したという。この小説の密度や面白さを知れば、このことは少しも不思議ではないだろう。しかし、この小説のタイトルを理解するためには少し説明が必要である。
 戦争は言うまでもなく、国家と国家との、兵士と兵士との争いである。一方が勝てば一方は占領され(滅亡し)、一方が勝てば一方は捕虜になるか、あるいは殺される。『人間の条件』はこの当たり前の事実を、愛を描くことによって再確認し、戦争にNO!を突きつけている。中国人捕虜に人間的に接したために最前線に送られた梶は、銃弾飛び交う戦場でも、上官の不当ないじめの横行する自軍の兵舎でも、ヒューマニズムを押し通そうとする。しかし、その梶は常にヒューマニズムと愛との矛盾に悩む男であった。自分に銃口を向ける敵兵士を殺さなかったら自分の最愛の美千子を悲しませることになる。しかし、この敵兵士にも愛する妻がいるのではないだろうか、という悩みである。愛を貫徹するためには殺人を犯さねばならない。愛に殉ずるためには人間性をかなぐり捨てて、人を殺さねばならないという事実は重い。おそらく誰にも正しい答えが出せない難問であろう。靖国や無差別テロの時代にこそ梶の悩みを我々のものとして考えるべきである。しかし、とりあえず、一面雪に覆い尽くされた冬の満州に、美千子の居場所まで一直線に線を引き、疲労困憊の身体でそれを踏破しようとする梶の物語を読んでほしい。現代人が忘れた戦争と愛の物語を。
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 寺平長由 トップ50レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
この本を読むと「正義」という言葉が軽く出せなくなります。 また、正義という言葉を多く使っている人が軽く見えてしまいます。

物語は戦争中の日本であり全体主義が強い時代です。 その中で主人公は「正義」を貫こうとします。人間的に良い事をしているはずですが、全体主義の時代の中「変質者」として扱われて行きます。自分の考えを持たずに全体主義という長いものに巻かれていれば、高収入、高い待遇、戦地に行かない特権を楽に手に入れる事が出来た主人公であるが、「正義」の心が勝ってしまいそのような待遇に甘んじることが出来ません。

その後、戦地に行くことになってしまい、最終的には「理想郷」だと思っていた所に行くことが出来ます。でも「理想郷」でも全体主義が力を利かせている世界だと言う事に落胆してしまいます。

本書は上中下の三部構成になっていますが、本に引き込まれてしまうので時間を忘れてしまうと思います。新作がつまらないと思っている人はこのような旧作を読んで見ることをオススメします。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
「・・・寒くて、すまないけどね・・・」と、三千子の薄い肌着に手をかけて、梶は哀願するように云った。「あすこに、あの窓のところに、立ってくれないか」――私の心に強烈に刻み込まれている、五味川純平の『人間の条件』(岩波現代文庫、上・中・下巻)の第三部の一節である。

「ためらいはしなかった。起き直ると、一刻も惜しむかのように全裸になった。張りきった乳房が大胆に揺れたのは、男の切ない悲願に応えたのだ。・・・梶は、眺め、見つめ、いざり寄って、抱きしめた。これがこうする最後かもしれない。女には云わない」と続く。

正義感のために軍隊内で孤立し、苦渋する梶二等兵を遥々と国境近くまで訪ねてきた妻・三千子との、何とも切ない久しぶりの再会。

言われなくとも、妻は、「この人は、死ぬのではないか。この人は、もう、覚悟しているのではないか」と感じているのだ。
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