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53 人中、47人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
名著。,
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レビュー対象商品: 人間の条件 (ちくま学芸文庫) (文庫)
アレントの代表作として名高いこの著作、文庫で読めるのは大変ありがたい限りです。公/私的領域を新たな視点から捉えなおした 論述や、action・work・laborの価値の転倒という斬新なテーゼが特に 印象に残りました。ハイデガーの弟子(かつ元恋人)というだけあって、 膨大な教養に裏づけされており、政治学的な色彩が強いと同時に、秀逸 な哲学書としても読めると思います。 翻訳なんですが、アレントのあの読みづらい英語をここまで読みやすい日本語 にした力量には頭が下がります。名訳だと思います。しかし、気になった点が ないとはいえないので少々。 ・全般にわたってactionを活動と訳しています。actionはpraxisの訳語とアレント 自身が述べているので、praxisの定訳といえる「行為」と訳したほうがよいのでは。 ・power、force、strengthが権力、実力、体力と訳してあり、かつ入り混じって 用いられているので、原語と照らしあわせないとちょっと判りづらいかもしれま せん。ここの訳し分け大変だろうなぁとは思いますが。 また、これだけの大作ですので、索引があるとよかったのになぁという感じです。 だいぶ読むのが楽になるかと思います(原著には有)。それと気のせいか脚注だけ訳 が余りよくないような気がします。脚注で邦訳のある著作には邦訳のページ数もつ けてほしかったです。
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
公共哲学研究の背景を精確に知るには格好のテキスト,
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レビュー対象商品: 人間の条件 (ちくま学芸文庫) (文庫)
頻繁に部分を再読していると背が壊れてしまい、再度購入した。この文庫は初刷3000部という少部数刊行である。版元はナンバーリングを入れたい、という位に計画的に出版されているが、本書は既に18刷で異色である。如何に重要な著作であるかが判ろうというもの。本書の学術的な価値は既に定着していよう、志水の名訳も評価が定まっている。そのお弟子さんたちはリチャード ローティの研究者であったり、政治哲学分野で活躍中である。 さて、肝心の思想史的な意義だが、本書は西洋思想史に置ける公私の概念の変遷史を古代ギリシャから現代まで一貫した立場で分析されており、日本的な公私の違いを理解するには的確な解説であろう。戦後60年を経ても、日本には西欧思想に置ける公私の概念が体系的には受容されておらず、近年の公共哲学研究は著しく進んで来たが、その背景を精確に知るには格好のテキストである。日本ではことに公の概念が政体に絶えず有利に利用されて来ており、酷い例は、 公 = 官 という酷い解釈がマスコミを含めて流布している。その過誤を精確に理解するためにも、本書が果たす役割は大きい。是非ご一読願いたい。
21 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
人間として生きる意味を問う、一つの視点,
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レビュー対象商品: 人間の条件 (ちくま学芸文庫) (文庫)
本書の意図は、著者がプロローグにおいて述べている次の文章に示されている。『これから私がやろうとしているのは、私たちの新しい経験と最も現代的な不安を背景にして、人間の条件を再検討することである。』。その再検討の内容を一言で纏めてみると、「人間の活動力の基本的要素は三つあって、労働、仕事、活動であり、それぞれの”人間の条件”は、生命それ自体、世界性、多数性である」というものだが、この言い回しがどういう意味なのかは、読んでのお楽しみとしておきましょう。 本書には、アレントの政治哲学上の重要な概念、例えば「公的領域と私的領域」などの考え方がちりばめられていて、そこを理解するのが面白いと思うのだが、小生のような一般読者が通読しただけではかなり難解。 だが、少し極端に言えば、現代社会は経済活動などの私的領域が拡大したもので、そこでは生命価値が絶対だから古代と違って「労働」の地位が第一位となっていて、科学技術の発達は人の力で世界を創る「仕事」を充実させはするが、人間の「活動」を創出する本来的な公的領域は喪失し、人々は自ら進んで類人猿に成り下がりつつある、という見方には確かに一理あると思う。
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