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人間の本性を考える  ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)
 
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人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス) (単行本)

スティーブン・ピンカー (著), 山下 篤子 (翻訳)
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

人の心は「空白の石版」であり、すべては環境によって書き込まれる。これは、二〇世紀の人文・社会系科学の公式理論であり、反対意見は差別や不平等につながるとして、今なおタブー視される。世界的な認知科学者が、人の心や行動の基礎には生得的なものがあることを最新科学で明かし、人間の本性をめぐる科学が、道徳的・感情的・政治的にいかにゆがめられているかを探究する。米国で大反響のベストセラー、待望の翻訳。


内容(「MARC」データベースより)

人の心は何も書き込まれていない石版であり、全ては環境によって作られる。これは人文系科学の中心理論であり、反対意見はタブー視される。だが、はたして本当にそうなのか? 米国で大反響のベストセラー。

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5つ星のうち 4.0 読み出したら止まらない。, 2004/10/18
By モワノンプリュ (Japan) - レビューをすべて見る
(TOP 100 REVIEWER)   
 上中下3巻本なので、読み進めるのと同時進行で、1冊ずつレビューしていきます。
 上巻では脳科学・心理学・言語学など、最先端の諸科学の成果をマシンガンのように浴びせかけて、タブラ・ラサ論を完膚なきまでに叩きのめします。個人的に特に興味深かったのは、脳の可塑性を示す諸結果が脳の遺伝的構成の主張を覆すものではないことを示す議論でした。腑に落ちました。
 さらに第II部では、生得性を視野に入れて人間を論じた人々がいかに不当な批判を浴びたか、タブラ・ラサ説に固執する知識人たちがどのような欺瞞に陥ったかが論じられます。
 ここまでの議論は、ジェットコースターに乗っているような息もつかせぬ展開。圧倒的にオモシローイ。実は深夜に上巻を読み終えたとき手元に中巻がなく、それでもすぐ続きが気になって書庫に積ん読してあった原書を引っ張り出して読み始めたくらいです。
 ただし、「タブラ・ラサ論は誤り」、「遺伝的に規定される人間本性がある」という主張には深く納得したのですが、ではその本性の具体的な内容、生得性の程度がいかほどかについては、試論的な水準に留まっていると思います。続きをちょっと覗いた限りでは、議論はそちらではなく、生得性を肯定することの社会的意味を検討する方向に向かう様子。
 最後にもう一言。このような内容の本がかつてのような社会的憤激を浴びず、むしろ多くの人の関心を惹き、ベストセラーになり、肯定的な評価を受ける状況と、冷戦終結・ソヴィエト崩壊という時代状況との関連性は、あると思います。そして中下巻の議論には、冷戦終結後の世界の思想的混迷を打破できるかどうかが賭けられているはずです。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 全ての社会人に, 2009/1/18
人類の進化のスピードは、社会の変化よりずっと緩やかだ。
だから、私達は原始時代の生活に適応した脳で、この複雑な現代社会を
生きていかなくてはならない。

そんな中、私達は、人間を理性的な存在としてとらえるあまり、
高い期待を抱き過ぎて、かえって失望することが多いように思う。
本書を読むことで、人類が進化の過程で獲得してきた性質を
ありのままにとらえ、人に対してもっと現実的な期待を抱けるはずだ。

一部の科学好きの人のための学術書ではなく、現代社会に生きる多くの
社会人に読んで欲しい良書。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 面白すぎる(笑), 2008/11/23
By ふんふんふん (茨城県つくば市) - レビューをすべて見る
 心理言語学者のスティーブン・ピンカーといえば、「言語生得説」の主張を論争的かつユーモラスな文体で軽快につづった、『言語を生みだす本能』がNHKブックスから出版されていて有名だ。

 人間が「文法」の規則をあやつる能力をいかにして獲得するのかについて、「後天的」に獲得する──つまり赤ちゃんが、たとえば両親の会話を聞いているうちに帰納的に規則を発見する──と考える立場と、「先天的」にその能力を持っている──つまり遺伝子によって規定される脳の構造のなかに、すでに文法の基本原理は組み込まれている──と考える立場がある。
 後者は、言語学界の革命児ノーム・チョムスキーが創始した「生成文法理論」が採っている言語研究のアプローチで、ピンカーの研究も基本的には同じ流れに属している──「進化論」の扱い等をめぐってチョムスキーと鋭く対立してもいるようだが──。
 ちなみに、『言語を生み出す本能』もこの『人間の本性を考える』もともに、アメリカではベストセラー入りしている。

 さて、本書『人間の本性を考える』のテーマは、言語にかぎらず、人間の性格や能力がいかに広範囲にわたって遺伝的に、つまり先天的に決定されているかである。要するに本書におけるピンカーの戦いの舞台は、「『心』をつくるのは生まれか? 育ちか?」の論争だ。もちろんピンカー自身は、少なくとも論争上は、「生まれ」の重要性を強調する立場にいると言っていい。

 この上巻では、「生まれか? 育ちか?」論争の科学的な内容にも触れられているが、より強い力点が置かれているのは、その論争がしばしば「政治的」な動機によって、非科学的で不公正なものへと歪められてきたという事実の指摘である。

 人間の性格は、「遺伝(生まれ)」と「環境(育ち)」の両者の相互作用によって形作られる。常識的にはそう考えるべきであり、ピンカー自身もそう主張する。したがって論点は、「生まれ」と「育ち」の双方がどの程度の割合で作用してくるのか、またどのような作用の仕方をするのか、に絞られてくるはずだ。
 ところがアメリカの知識界では、「平等主義」的なイデオロギーが幅を利かせているせいで、この常識的見解が否定され続けてきたのである。「生まれながらの不平等」を認めたくないわけだ。

 「遺伝」によって決まる人間の性質を、ピンカーは「人間本性」と呼ぶ。そして「人間本性」の存在を認めない立場の代表例が、「ブランク・スレート(空白の石版)」仮説、つまり人間の心はがんらい「空白」で、生まれた時点では個体間に何の差異もないという考え方である。(そのほか、「人間本性」を否定する立場には、「高貴な野蛮人」、「機械の中の幽霊」といったバリエーションがあるらしい。)
 遺伝子の研究や、認知科学、脳神経科学の発達によって、人間の心が「ブランク・スレート」の状態で生まれてくるのではないということは、すでに当たり前の認識となってきた。何らかのかたちで「人間本性」が存在することは認めざるを得ないのだ。
 しかしながらアメリカでは、つい最近まで、科学者が「人間本性」の存在を少しでも認める主張をすると、たとえば「人種差別主義者」といったレッテルを貼られて、社会的に断罪されるという事態が頻発していたのである。
 ピンカーは膨大な量の文献を引用して、「人間本性」説を攻撃する「ブランク・スレート」論者たちが、いかにアンフェアなやり方で、心ある科学者たちに不当な攻撃を仕掛けてきたかを明らかにしている。

 本書(上巻)から我々が学ぶべきなのは、アメリカのアカデミズムやジャーナリズムが、少なくとも特定の分野では、「自由」でも「公正」でもないのだという事実であろう。アカデミックな実証研究が社会的・政治的なイデオロギーによって歪曲されるという事態は、「自由の国」アメリカにおいてすら日常茶飯事なのである。
 もちろん「自由」であればいいというわけではないし、科学哲学者のT.クーンが「パラダイム」という言葉で説明したように、自然科学の研究とて、その基本的な前提や枠組みは、ある種の「社会心理」によって規定されているのが普通ではある。
 しかし本書のなかでピンカーが告発しているのは、そんな生易しい社会心理の支配などではなく、ほとんど暴力的というべき卑劣な研究妨害活動だ。
 興味がある人は、この上巻の6・7章を読んでみるといい。

 ……さて、中・下巻も買わなきゃ。
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