1986年に購入して一度読んでいたのを再読した。四半世紀を経て読んでみると、教育界の時代の変化を痛感する。昭和30年代前半のおそらく九州佐賀県を舞台としている教育界の状況が、まるでノンフィクションのようにリアルに描かれている。一クラス60人近いすし詰め学級。教員不足。産休も満足に取れず、代替の教員も配置されない。このような劣悪な状況の中、教師たちは、貧しくも努力を重ねていく。主人公の尾崎ふみ子先生の周辺にいる多くの教員の姿が、はっきりとした輪郭で描かれている。
組合活動について書かれているため、やや問題小説として扱われているのだろうか。これだけの名作であるにもかかわらず、書店から消えつつあるのが残念でならない。
むしろ、ここに登場する教師一人一人の日常のたゆまない努力、教育に対する情熱を若い人たちにも知ってもらいたい。
ぜひ、手軽な文庫で多くの人に読んでもらえるよう、新潮文庫での再版を期待する。