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人間にとって科学とは何か (新潮選書)
 
 

人間にとって科学とは何か (新潮選書) [単行本]

村上 陽一郎
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

純粋な知的探究として発して二百年、近代科学は社会を根底から変え、科学もまた権力や利潤の原理に歪められた。人類史の転換点に立つ私たちのとるべき道とは? 地球環境、エネルギー問題、生命倫理----専門家だけに委ねず、「生活者」の立場で参加し、考え、意志決定することが必要だ。科学と社会の新たな関係が拓く可能性を示す。

内容(「BOOK」データベースより)

純粋な知的探究から発して二百余年、近代科学は社会を根底から変え、科学もまた権力や利潤の原理に歪められた。人類史の転換点に立つ私たちのとるべき道とは?地球環境、エネルギー問題、生命倫理―専門家だけに委ねず、「生活者」の立場で参加し、考え、意志決定することが必要だ。科学と社会の新たな関係が拓く可能性を示す。

登録情報

  • 単行本: 206ページ
  • 出版社: 新潮社 (2010/06)
  • ISBN-10: 4106036622
  • ISBN-13: 978-4106036620
  • 発売日: 2010/06
  • 商品の寸法: 19.4 x 13 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By TKMT
形式:単行本
  表題のとおり,「人間にとって科学とは何か」という古くて新しい,しかも厄介な難題に具体例を紹介しながら平易に解説した好著。われわれ人間社会の存続にとって不可欠な科学の意義を一般市民にも開かれたもの(ないしは開かれるべきもの)として語ってゆく姿勢に敬意を示したい。第9章「私たちにとって科学とは何か」などには,新政権の目玉となった「事業仕分け」への論評もある。この論評から著者自身の科学観が鮮明になっている。

  一連の諸問題に科学史から紐解く姿勢はさすがだが,そもそも科学は一部の専門家のみが研究してその内容を理解していればよいというものではなさそうだ。「トランス・サイエンス」という言葉があるように(著者によれば,「トランス」は「超えた」よりは「広がった」と把握したほうがいい),科学にもとづく論理から導かれる合理性(科学的合理性)とは異なる,「社会的合理性」もが尊重される時代であることを明確に認識しなければならない。生命倫理,環境・エネルギー問題など,科学の見識だけでは決着のつかないものがあまりにも多い。だからこそ,「市民参加型技術評価」のような新たな制度的枠組みへの関心が高まるのだろう(138頁)。科学リテラシーの鍛錬が必要だ。

  著者は最後に「科学教育の必要」と題し,現在の専門家養成カリキュラムから教養教育に方向転換する時期に来ていると述べている。リベラル・アーツとしての教育の志向なのかもしれないが,興味深い。「新しい教養教育は,現代に即した現実的テーマを,分野横断的に取り扱う必要があります。・・・これからの時代は,理系でも法律や倫理の知識は欠かせませんし,同じように文系でも,科学や技術の影響を理解し,判断し,意思決定する能力が,読み書き能力と同様に大切なのです」(182頁)。本書を手がかりに,表題に対して自分なりに考えてみること,その一歩が切実に求められている。貴重な問題提起の書だ。
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
口述筆記。しっかりと編集してあるようで読みやすい。話が飛ぶと言うことがあまりない。ただし論理が倒錯する箇所はある。

どこにも書いていないが科学者とは何か (新潮選書)の後継的な本と言える。序盤の二章の記述がかぶっている。内容の目指す方向性も近い。
また、他の章も村上陽一郎がこれまで書いてきた書籍の要約といったおもむきのある内容が多い。生命倫理・医療に関する話や安全学とか。

ただうまく軟着陸させた感はある。どの項目でも専門家と非専門家の軸を元に話しているからである。
かつては何でも専門家にお任せしていれば良い面があった。ここでは科学者と言い換えておく。
科学者が共同体のなかで自分たちだけにわかる研究をやっていればよかったのである。
ところが20世紀もおわるになるにつれて、科学がもつ影響力が増大し、社会へ与える影響も目に見えるようになっていった。
この社会に与える影響がクセモノである。
決して専門的な知識を持たない人々も多大な被害を被ったりする可能性が出てきた。
そこで著者は、科学が社会に受け入れられるようになことが必要だと説いている。
科学教育の必然性や、科学の成果を判断するのに非専門家の意見を聞く・・・など。
ともかく効率主義や実績主義に陥らないように、著者は様々な角度か留保をつけつつ、これからの科学が向かう方向性を検討している。

すっぱりと切れる解決策というのが存在しないのは著者もよく分かっているようだ。
だからこそ対話を重視し、問題の解決方法を話し合っていくことが重要なのだろう。

結局、効率一辺倒の科学政策はもちろん大切であるが、そこに与しない純粋な知識探求型の古い科学のスタイルも大切だと著者は言っている。
こういうのが学者的であり、教養的であると批判しようと思えばできないことはない。
しかし教育や研究は目に見えない成果で現れると言うことを鑑みれば、著者の穏やかな主張も自ずと聞き入れることはできるだろう。
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15 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
少し雑では? 2010/8/21
By これでいいのだ トップ500レビュアー
形式:単行本
 語りおろしを編集部がまとめたという、「科学と社会」を巡る長編評論とでもいうべき1冊。さすが科学史・科学論の大御所らしく、前半を中心に興味深いエピソードが次々に出てきて、面白く読み進めることができた。ところが後半、ページが進むにつれて話題が拡散気味になり、「あれ、ここは何の話?」といった気配が兆してくる。科学のための科学というプロトタイプと、社会の中での科学というネオタイプの対比、という大まかな論点は漠然と維持されているが、ここに民主党の事業仕分けに対する不満・批判という時事的要素が混ざってきて論述がぼやけ始め、やがて尻切れトンボになっておしまい。率直に言って、編集が手を抜いたのではないか、とすら思えてきた。

 雑なところをもう少し挙げると、例えば、温暖化論争でアル・ゴアやIPCCの指導的研究者に「作為」が窺えることを指摘する一方、理屈抜きで「それでも温暖化対策は必要だ」と「飛躍」してみたり(82頁)、16〜17年前の、紫煙もうもうたる中に入った経験を「最近ではやや珍しい体験」だと言ってみたり(116頁)。口語体なので気楽に読めるものの、注意深く辿っていくと、他にも薄味な箇所はけっこう多かったように思う。
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