この本は、大きく2つのパートに分かれている。
前半は、自身の人工知能の研究開発プロジェクトの経験や、コンピューターの事例を通じて、人間の知能を再現することに難しさと、その理由について語る部分。
そうした経験から、石川は、人間は意味する存在であり、意味とは全体の中に含まれているとした上で、現在の人工知能を作ろうとするアプローチについて、全体を考えない”詰め込み理論”であると批判している。
後半は、人間は意味する存在である、という部分を受けて、生命進化の中で、意味作用がどのように高度化されてきたかを論じている。
石川は、量子物理学の量子過程の考え方を利用して、それが生命の進化を加速させたとしている。
前半部分は、石川の実際の経験に基づいているだけに、非常に説得力があり、面白い。
しかし、後半部分は、少しわかりにくい。それは、その内容が、栗本慎一郎やシェルドレイクを参考に、石川が独自に生み出した仮説であるので、馴染みがない、ということ。それに、そもそも量子過程が、実際の生命進化に結びつく部分が、まだアイディア段階であるせいか、説明として、なかなか上手くつながっていないことがある。