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人質の朗読会 単行本 – 2011/2


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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた。紙をめくる音、咳払い、慎み深い拍手で朗読会が始まる。祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは人質たちと見張り役の犯人、そして…しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

小川/洋子
1962年、岡山市に生まれる。早稲田大学第一文学部卒。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により第七回海燕新人文学賞を、91年、「妊娠カレンダー」により第一〇四回芥川賞を受賞。2004年、『博士の愛した数式』で第五五回読売文学賞と第一回本屋大賞を、06年、『ミーナの行進』で第四二回谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 247ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2011/02)
  • ISBN-10: 4120041956
  • ISBN-13: 978-4120041952
  • 発売日: 2011/02
  • 商品パッケージの寸法: 19.4 x 13.6 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (33件のカスタマーレビュー)
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43 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 投稿者 warabi 投稿日 2011/6/25
形式: 単行本 Amazonで購入
 最初から主人公である8人の人質は死んでしまったと、わかって始まる8人の物語に静かに耳を傾けられるのだろうか。痛みばかりではなくいとおしさをもって寄り添いながら読み進められるのだろうかと恐る恐るページをめくった。しかし人質たちが物語を語ることになったいきさつを語った冒頭部分ですでに物語にからめ捕られていく。「いつになったら解放されるかという未来」ではなく「自分たちの中にしまわれて」「決して損なわれない過去」に耳をすませることが必要なのだ。と、小川ワールドに深く静かに潜っていけるのだった。
 それぞれのささやかな日々の生活の中のささやかな物語が、どれほどいとおしくどれほど生の輝きを持ってこちらに迫ってくるか。だからかわいそうというのではない。読後に残る涼やかな印象はなんだろう。彼らは生きているのである。物語を通して生き続けているのだ。
 全編を読み終わった後に「もしも自分だったら何を語るだろうか」と考えた。そして物語ることの意味、物語ることの必要性を改めて考える。物語のイメージを左手に握りしめ、右手で今自分のできることを一つ一つ丁寧に生きていこうと、勇気をもらった一冊。こんな時代だからこそ多くの人に読んでほしい一冊。
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45 人中、38人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 投稿者 ホリデー 投稿日 2011/5/5
形式: 単行本
 小川洋子独特のいつもの世界に心地よく浸ることができた。
 大震災というスパイスが夢中にさせたのかもしれない。
 私の心は、自分も知らない間に疲れていたんだなとわかる。
小川洋子の作品は心のひび割れにそっとしみ込み、静かに、騒ぎ立てることなく
癒してくれる。

 なんでもない日常が本当は一番輝いていた。そんなことに気が付くのは
緊張を強いられる非日常の環境におかれているから。
環境が変えられないなら、あの日の気持ちだけでも取り戻そう。
賢明な人質たちは気が付いた。今このときも日常なのだ。朗読はそれを取り戻す
ための手段。自分が生きてきたことの記録。

 毎日を静かに、丁寧に、ゆっくり生きていこう。
 覚悟を決めたら楽になる。
 すぐに何かが変わるわけじゃない。
 今このときも自分の大事な人生の時間なんだ。
 手の届かない問題に振り回されたら損だよ。
 自分を大事に、周りの人を大事に生きていけばいいだけなんだ。
 
 そんな気持ちにさせてくれる本かな。
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39 人中、31人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 投稿者 東の風 VINE メンバー 投稿日 2011/3/4
形式: 単行本
 地球の裏側にある異国で人質になった八人が、自分の人生の忘れがたい思い出、過去の記憶をそれぞれ一つずつ書いて、朗読し合おう。八人の人質の誰が言い出したのか分からない、彼ら一人一人の人生の物語を、八つと一つの全部で九つ収めた連作短編集です。

 九つの物語はどれも、語り手がまだ子供だった頃、あるいは何年、何十年か前の昔の忘れ得ぬ体験、出来事を綴ったものばかり。人生の途中で出会い、心を通わせた人物に対する語り手のあたたかな気持ち、その思い出を大事に心にしまっておいた語り手の思いの深さが伝わってきて、何だかしんみりとしてしまいましたね。ささやかだけど、素敵な人生の一コマを垣間見せてもらった、いや、聴かせてもらったみたいな。祈りにも似た、密やかで静かな調べを湛えた物語たち。しんと、心に響くものがありました。

 「中央公論」2008年9月号〜2010年9月号に掲載された九つの物語のタイトルは、「杖」「やまびこビスケット」「B談話室」「冬眠中のヤマネ」「コンソメスープ名人」「槍投げの青年」「死んだおばあさん」「花束」「ハキリアリ」。
 不思議なインパクトを持つ登場人物たちのなかでも、「やまびこビスケット」に出てくるアパートの大家さん、「B談話室」に出てくる公民館の受付の女性、「槍投げの青年」に出てくる青年の姿が印象的だったな。
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20 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 投稿者 村田 繭子 投稿日 2011/10/11
形式: 単行本
異国で反政府ゲリラに拉致された8人の日本人。
いずれ爆死する運命の人質は、監禁されている間、朗読会を開く。
テキストは、自ら書き記した過去の出来事。そこにどんなルールを彼らが設けたのかは、
8人の話を記録した盗聴テープを通して想像するしかない。
しかしいずれの話も、
他者との邂逅によって、人生の「善きもの」を受け取り、それを忘れずに生きてきた人々の述懐である。
語る言葉をいったん文字として書き記すことにより、彼らの記憶は純度と硬度を増している。

9話は、盗聴器から聞こえる朗読の声に耳を傾けていた特殊部隊の男の話である。
この最後の男の話が、8人それぞれのバラバラな記憶を、1点に凝縮する役目を果たしていて、秀逸である。
小説の末尾の数行は、私には忘れられないものとなりそうだ。

本書が刊行されたのが2011年2月。
その時日本には、1か月もしない内に想像だにしなかった状況下で自らの生を終える人々が、2万人以上いて、
日々のささやかな日常を生きていたのだ。
彼らもまた8人の人質のように、若者も老いた者も、働き者も怠け者も、気立てのいい者もひねくれ者も、
みなが人生におけるなにかしら「善きもの」を抱いて、死に向かって生きていたのだ。
もちろん、いまだ生きている私も、同じ流れの中を生きているのだと思う。
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