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26 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
しみじみとした味わいが心に満ちてくる一冊。著者の最近の新刊、当たりが多いです,
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レビュー対象商品: 人質の朗読会 (単行本)
地球の裏側にある異国で人質になった八人が、自分の人生の忘れがたい思い出、過去の記憶をそれぞれ一つずつ書いて、朗読し合おう。八人の人質の誰が言い出したのか分からない、彼ら一人一人の人生の物語を、八つと一つの全部で九つ収めた連作短編集です。九つの物語はどれも、語り手がまだ子供だった頃、あるいは何年、何十年か前の昔の忘れ得ぬ体験、出来事を綴ったものばかり。人生の途中で出会い、心を通わせた人物に対する語り手のあたたかな気持ち、その思い出を大事に心にしまっておいた語り手の思いの深さが伝わってきて、何だかしんみりとしてしまいましたね。ささやかだけど、素敵な人生の一コマを垣間見せてもらった、いや、聴かせてもらったみたいな。祈りにも似た、密やかで静かな調べを湛えた物語たち。しんと、心に響くものがありました。 「中央公論」2008年9月号〜2010年9月号に掲載された九つの物語のタイトルは、「杖」「やまびこビスケット」「B談話室」「冬眠中のヤマネ」「コンソメスープ名人」「槍投げの青年」「死んだおばあさん」「花束」「ハキリアリ」。 不思議なインパクトを持つ登場人物たちのなかでも、「やまびこビスケット」に出てくるアパートの大家さん、「B談話室」に出てくる公民館の受付の女性、「槍投げの青年」に出てくる青年の姿が印象的だったな。 同時期に執筆された『原稿零枚日記』(2009年1月号〜2010年4月号にわたって、「すばる」に掲載)もとても魅力的な作品だったけれど、こちらも、しみじみとした味わいが心に満ちてくる一冊でした。
16 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
丁寧に生きる,
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レビュー対象商品: 人質の朗読会 (単行本)
小川洋子独特のいつもの世界に心地よく浸ることができた。大震災というスパイスが夢中にさせたのかもしれない。 私の心は、自分も知らない間に疲れていたんだなとわかる。 小川洋子の作品は心のひび割れにそっとしみ込み、静かに、騒ぎ立てることなく 癒してくれる。 なんでもない日常が本当は一番輝いていた。そんなことに気が付くのは 緊張を強いられる非日常の環境におかれているから。 環境が変えられないなら、あの日の気持ちだけでも取り戻そう。 賢明な人質たちは気が付いた。今このときも日常なのだ。朗読はそれを取り戻す ための手段。自分が生きてきたことの記録。 毎日を静かに、丁寧に、ゆっくり生きていこう。 覚悟を決めたら楽になる。 すぐに何かが変わるわけじゃない。 今このときも自分の大事な人生の時間なんだ。 手の届かない問題に振り回されたら損だよ。 自分を大事に、周りの人を大事に生きていけばいいだけなんだ。 そんな気持ちにさせてくれる本かな。
14 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
生きることは物語ること,
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レビュー対象商品: 人質の朗読会 (単行本)
最初から主人公である8人の人質は死んでしまったと、わかって始まる8人の物語に静かに耳を傾けられるのだろうか。痛みばかりではなくいとおしさをもって寄り添いながら読み進められるのだろうかと恐る恐るページをめくった。しかし人質たちが物語を語ることになったいきさつを語った冒頭部分ですでに物語にからめ捕られていく。「いつになったら解放されるかという未来」ではなく「自分たちの中にしまわれて」「決して損なわれない過去」に耳をすませることが必要なのだ。と、小川ワールドに深く静かに潜っていけるのだった。それぞれのささやかな日々の生活の中のささやかな物語が、どれほどいとおしくどれほど生の輝きを持ってこちらに迫ってくるか。だからかわいそうというのではない。読後に残る涼やかな印象はなんだろう。彼らは生きているのである。物語を通して生き続けているのだ。 全編を読み終わった後に「もしも自分だったら何を語るだろうか」と考えた。そして物語ることの意味、物語ることの必要性を改めて考える。物語のイメージを左手に握りしめ、右手で今自分のできることを一つ一つ丁寧に生きていこうと、勇気をもらった一冊。こんな時代だからこそ多くの人に読んでほしい一冊。
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