このレビューは原著と翻訳書の両方に反映されていますが、評価は原著が星五つ、翻訳書が星一つです。
〔原著について〕
言わずと知れた Eric Berne 博士のベストセラーで、交流分析(transactional analysis)を有名にした本です。今読んでも十分価値があります。交流分析の原典としてぜひ読んでおきたい本だと思います。
この本はイギリスで出版された
Games People Play: The Psychology of Human Relationshipsとアメリカで出版された
Games People Play: The basic handbook of transactional analysis.があります。イギリスとアメリカのサイトのLook Insideで比較して、活字が読みやすいと感じてイギリス版を選びました。どちらの版を買うか迷っている方には両方のサイトで比較されることをお勧めします。
〔翻訳書について〕
まあ、なんというか、まともな日本語じゃありません。こんな翻訳が許されて、「知識人たち」が分らないながらも争って読んだ時代もあるのですね。でも、アメリカでは通俗心理学書として、特に高学歴でない人たちが普通に読んだ本です。
この時代は辞書に書いてある言葉をそのまま書いて、それを読者があれこれ考えて解釈する、という翻訳のされ方と読まれ方だったのでしょうか。この本の奇妙な翻訳の元の文章が知りたくて原著を購入しました。以下、実例を示します。
原著 The operational aspect of time-structuring may be called programming. It has three aspects: material, social and individual. The most common, convenient, comfortable and utilitarian method of structuring time is by a project designed to deal with the material of external reality: what is commonly known as work.
本書 時間の構造化の操作的な面は、プログラミングと呼ばれる。それは、物質的、社会的および個人的な三つの面をもっている。時間を構造化するもっともありきたりで、便宜的で、安楽な、そして功利的な方法は、外界の現実にある素材を扱う試みである。それは、ふつう、『仕事』として知られている。
私訳 時間を割り付ける作業を計画と呼んでもよい。三つの側面があって、物、世間、個人に関わる。一番普通で、手軽で、楽しく、金になる方法は、外の現実の物を扱うべく考案された企画で、皆が知っている名前は仕事である。
交流分析で structuring を構造化と言うのは知っていますが、普段使う言葉に出来なかったのでしょうか。時間の構造化とか空間の構造化と聞いて、すぐに理解できる人はどれだけいるでしょう。少なくとも創始者の Berne 博士は難しい心理学の専門語を避け、交流分析の用語には意図して口語を用いたはずです。
また、「子供らしい(childish)という言葉は相応しくない」という説明は、「子供っぽい」と書かないと読者は何を言いたいのか理解できません。「子供らしい」は childlike で、 childish は「子供っぽい」です。
他にも、この本で「ラポ」と書いてある言葉の意味が分りませんでした。原文は rapo でした。せめて「レイポ」とすべきでした。これが rape のもじりだとは気付かなかったのでしょうか。別な本の翻訳で深澤道子さんはゴーカンと訳していました。