「大人世代への応援歌」である。悩みや迷いがあっても、自信を持ち、明るい気持ちで前向きに人生を送ろう。それが本書の主張。しかし、そうは言っても容易にその気になれないのが人の常。そこで指南の書を書いた。
これまで著者は、若い世代を対象に哲学、人生のありようを示す書を書いてきたらしい。自身が1970年生まれで40代に入った。街で開いている「哲学カフェ」で大人世代の相談を受けることも多い。そこで本書を「大人限定の悩み相談」として書いたというのである。
著者は、哲学を「真理に向かう前向きな営み」(「はじめに」)と定義している。分かりやすくていい。そのような調子で、不仲、不信から病気、介護まで20の主題を「ケース」として示し、それを考えるに適した哲学者20名の人と考えを紹介しながらケースの主人公に向けてコメントしている。同じような話の展開方法に、やや戸惑いながらも、一読して振り返るとすべてに貫通しているのが「自信、明るい気持ち、前向き」といった主題だと分かって納得できた。目的地は一つ、20の道をたどるケーススタディなのである。
40代に入ったばかりの著者ながら、職歴や修学歴は多様である。何人もの人生を体験しているとも言える。それで発する言葉が人生経験豊かな人物のものと思えるのであろう。評者は1933年生まれ、今から人生をやり直そうとは思わないけれども、生の終わりまで著者の主張を大切に過ごし行きたいと思った。
評者はこの著者の本を初めて読んだ。自身の体験に照らして同意できることが多い。それで、人の晩年に読む本としても読めるなと、出会えたことを喜んでいる。