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後の大ヒット作「アンパンマン」を1973年に発表したとき、周りの評価は散々でした。
しかし、プロの予想に反し長い期間をかけて子どもたちの人気が出て、1990年に一千万部を超えます。一千万部というとすごい数字のように思いますが、漫画週刊誌の発行部数が百万~二百万部もある業界ですから、「これでなんとか仲間の中でいくらか認めてもらえるかもしれないと、ほっとひと息つきました」と言っています。ようやく業界の一員らしくなった著者は71歳になっていました。
この3年後に妻が他界するまでのわずかな期間、著者は「このあたりが、今考えれば一番よかったのかもしれませんね」と振り返っています。
いつ死んでも不思議はないと自称する著者は80歳のラインを超えたところで視界が変化します。金もいらなきゃ名もいらぬ、私しゃも少し健康が欲しい、という境地に達しました。魅力的な仕事が押し寄せ、魅力的な女性にも巡り遭うのに体力がなくてこなせない。それでも著者は「切ないことになりました。食欲のなくなった老猫が、カツオブシの倉庫に迷い込んだような具合です」と、おどけてみせます。
高齢化社会というと暗いイメージがありますが、本書を読んでいると「長生きすれば人生が開けることもある」と希望がわいてきました。
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