著者のミステリでは、現在のところ最長であり、最高傑作であろう。
えっえっと思っている間にストーリーがどんどん進み、次々にひとが死んでいく。
一巻目だけを読んだら、これって何?ホラー?SF?と思っちゃうよ。
でも、最後まで、四巻目まで読んだら、これは間違いなく本格ミステリ、それも伏線張りまくりの直球本格だってことが分かる。
とにかく、蘭子の推理がすごい。
四巻目まるまる一冊を解決編にするなんて、なんて嬉しいことをやってくれるんだ。
まあ、トリックはどうしても物理的なものが多くなるが、そんなこと、この謎、不可能興味、そしてこの長さの前では、かすんじゃうよ。
ここで蘭子は、というか著者は、精力を使い果たしちゃったんじゃないか。
このあと、たしかに著者の作品は今ひとつになっちゃうんだ。
「魔術王」にしても「双面獣」にしても、蘭子ものはさっぱりだし、サトルものはもともと少し薄味だし。
そして、著者はなんだか「容疑者X」論争でケチをつけちゃったんだな。
もっとガチ本格、それも直球本格を書ける作家だと思うし、あえてそういう作品を書く作家は今珍しいんだから。
著者の弟子筋の加賀美氏も「監獄島」という大作後はパッとしない。
やはり大作が傑作だと、そこに魂を吸い取られちゃうのかもしれない。
でも、ここに著者の大傑作を待っている読者がいるんだから、ガンバレ!