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人格との関係からみたパラノイア性精神病
  

人格との関係からみたパラノイア性精神病 [単行本]

ジャック ラカン , 宮本 忠雄 , 関 忠盛
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

パラノイアとは、“内的原因に発し、一貫した経過を示しつつ緩慢に発展する持続的で揺るぎない妄想体系で、その際、思考、意志および行動における明晰さと秩序が完全に保持されている疾患”である。精神病の理念型とでもいうべきパラノイアの問題へと気鋭の精神科医ラカンの関心が向かい、一挙に研究の飛躍をもたらしたのが1932年刊の本書である。

登録情報

  • 単行本: 430ページ
  • 出版社: 朝日出版社 (1987/03)
  • ISBN-10: 4255870012
  • ISBN-13: 978-4255870014
  • 発売日: 1987/03
  • 商品の寸法: 22.4 x 15.8 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
「いかなる個人の情動でも、他の個人の情動とはけっして一致しない。その不一致の度合いはちょうど、一方の人間の本質が他の人間の本質と異なるに従って、それだけ大きくなる。」(スピノザ『エチカ』第3部定理57)『人格との関係から見たパラノイア精神病』ラカン、朝日出版社、冒頭より

スピノザの『エチカ』(3:57)を冒頭と最終部(p362)に掲げるこの論文は、ピエール・ジャネとフロイトの間にいるラカンの出発点を歴史的に証言している。
ジャネは、フランスにおいて決定論に対する非難の矢面に立った人物で、フロイトよりも先に無意識を発見した人物だ。後の精神分析家たちと違って、人格を重視したジャネの先見性をラカンは十分考慮している(p123,278)。
人格を重視するジャネ(=アンチノミーを維持する人格を想定すればパラノイアは病気ではない)と性を重視するフロイトの両方を視野に入れることで、初めてラカンは「比例的関係」(p379)のなかで病理を位置づけることが可能になったのだ。人格を「構造的」(p44)にとらえるラカンはその人格を分母とし、そのうえに性というよりは患者の主体という分子を位置づけているようだ。これには精神分析におけるフランスとドイツ語圏の研究の違いも関係しているだろう(自動症を重視するフランスと過程を重視するドイツの精神分析研究の差異に関してはp101に指摘がある)。
論文の中間部の臨床報告を受けた後半部はフロイトへ傾斜しているが(p278など)、それでもフロイトが具体的自我と抽象的自我といった「自我」の定義において不十分だと指摘することも忘れてはいない(p341)。
スピノザに関する指摘(エチカ2:49注解、p409)は、パラノイアを一方的な解釈から救い、真の「平行論」(p356)に位置づけるものであろう。
『セミネール』の翻訳が鋭意進行中だとはいえ、臨床から離れた言説としてラカンが語られることが多い現在、このような書籍が気軽に手に入らないのは精神分析や哲学にとって大きな損失だと思われる。
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形式:単行本
これをパラノイアというのかなぁ、というのが率直な感想。この「症例エメ」を現在の医師が診たら統合失調症と診断し投薬するだろう。

そしてラカンはこの人の人格に荒廃の兆候はない、と判断している。

ラカンによる人格の定義

以下の3つの観察ポイントから総合的に理解すべきものを言う:

'@伝記的発展;主体が自らの歴史を感情的に生きるもの→観察者は経過を客観的に了解する

'A自分自身に関する考え;その人の理想や価値観が反映

→観察者は彼(女)の生活態度の弁証法的発達を客観的に評価する

'B社会的関係性と外部に対しての緊張感;その人が自分を取り巻く他者や他者一般に対してどのような価値観であるのか

→観察者は彼(女)の他者にする言動の倫理性を客観的に評価する

以上を鑑みてエメの人格は一貫しており荒廃した様子はないと判断している。

しかしながら彼女のGAFは明らかに低下しているだろうと思う。

対人関係の幅は徐々に狭まり今まで形成していた人間関係を維持できなくなってきているのではないか?と、するとこれは人格の荒廃あり、と判断してよいと思われる。

更に彼女に一貫して見られる妄想気分に支配された状態、これはコンラートならば患者がアポフェニーという全体場に曝されていると表現するに違いない。

これをパラノイアと診断するのがフランス流なのかもしれないが、この症例がラカンの原点だと考えるならば、その後に構築されたラカンの思想体系も現代の精神医学の体系とは別のものとして我々は捕らえるべきなのではないだろうか。
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