本書のテーマは、人望である。人望の重要性、人望を得る条件、人望のある人の具体例が書かれている。
本書は、1983年に刊行されたものの再刊行である。能力主義が強まっている現代、人徳の重要性を示す意味で、再刊行された意義がある。
まず、人望は学歴や能力を超えた人間の評価基準であることが示される。次に、人望がある人は人徳のあるひとであり、人徳のある人とは「克伐怨欲(他人に打ち勝ち押しのける、自己主張する、恨む、私欲をむさぼる)」を抑える人である。また、九徳(寛大だがしまりがある。柔和だがことが処理できる。まじめだが丁寧でつっけんどんでない。事を治める能力があるが、慎み深い。おとなしいが、内が強い。正直・率直だが、温和。大まかだが、しっかりしている。剛健だが、中も充実。強勇だが、義しい。)が理想という。最後に、人徳の方が能力よりも重要と言いながら、能力もまた必要だと言っている。すなわち、人望は人徳と能力が揃った時に得られると説く。
本書は、日本人にとっての人望を古典を紐解いて解説している。また、具体的な人物を例示して説明しているが、残念ながら再刊なので、事例が古い。
本書は、サブタイトルに「二人以上の部下を持つ人のために」となっており、中間管理職以上のビジネスマンに読ませたいと思っているようだが、その範囲を超えて読んでもらいたいような内容である。但し、事例の古さや難解な文章もあるので、20歳代にはやや不向きかもしれない。
本書の中核は第3章である。したがって、1章から3章まで読めば十分である。さらに、事例は古いので読み飛ばしてかまわない。そうすれば、3時間ぐらいで内容はつかめるはずだ。但し、自分の日頃の行いを振り返りながら読むことをお勧めしたい。