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人情馬鹿物語
 
 

人情馬鹿物語 [単行本]

川口 松太郎
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

大正期の東京下町を舞台にした人情小説の名作12編、待望の復刊。

著者紹介

明治32(1899)年東京浅草生まれ。久保田万太郎、講談師・悟道軒円玉らに師事する。昭和9年の『鶴八鶴次郎』が小説でのデビュー作。同作や『風流深川唄』などで昭和10年、第1回直木賞を受賞。以後芸道小説、風俗小説、時代小説と広汎に活躍する。映画会社の重役として芸能界も支えた。昭和40年、芸術院会員、48年には文化功労者にも選ばれた。昭和60(1985)年没。主な作品は『愛染かつら』『蛇姫様』『新吾十番勝負』『しぐれ茶屋おりく』など。

--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

登録情報

  • 単行本: 331ページ
  • 出版社: 論創社 (2009/05)
  • ISBN-10: 4846008959
  • ISBN-13: 978-4846008956
  • 発売日: 2009/05
  • 商品の寸法: 18.8 x 13.2 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 385,544位 (本のベストセラーを見る)
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ikutti
形式:文庫
文庫及び新書共に絶版または重版未定古書店を巡っても川口松太郎に出遭うことが出来ず、図書館にてお取り寄せ。古い本だし、本人含め関係者が亡くなっている以上、この本に書かれていること全てが真実だとは言い切れないのだが、事実だと思って読めば読むほど面白い。

川口松太郎氏が小説家になる前に講談速記の悟道軒円玉の速記の手伝いをしながら2階に居候をしていた頃の自分と円玉と出入りする人々を巡る人情馬鹿を綴った短編集。悟道軒円玉は松林伯円門下の講談師だったが、体が弱かったことで芸人をやめ、速記術を覚えてその頃の新聞雑誌に講談速記の連載を試み成功した人だそうだ。松林伯円は小猿七之助や鼠小僧などの講談を作った名人で、単なる芸人ではなく、立派な創作家だった。深川・森下に住み暮らしていた頃が全盛期で主にその頃のことが書かれている。『紅梅振袖』『春色浅草ぐらし』『七つの顔の銀次』『彼と小猿七之助』この四編が好みです。
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By スイート・サイエンス トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
作者によれば「江戸っ子」という人種は大正時代に消滅したらしい。大正時代までの東京人は「江戸っ子」と呼ばれるのを得意にしており、「江戸っ子」に対しては、気前が良くて、任侠精神があって、人情の機微が判った、等など、好い事ずくめの褒め言葉が並んだらしいが、それは言い換えると馬鹿々々しい見栄とやせ我慢に終始している人たちで、このような脆弱な都会人はこの世知辛い世の中を乗り切れず消滅したとのこと。

前置きが長くなったが、本書はそんな馬鹿々々しいほどまで人情に厚い「江戸っ子」を題材にした短篇小説集で、12編の短篇が収められている。講談師・悟道軒円玉を始めとする登場人物は、著者の周りに実在した人物ばかりで、著者の分身も「信吉」という名前で登場する。従って読んでいると実話をもとに書かれているのではと思わせる作品が多い。

作品の内容はタイトル通り講談師など当時の芸人にまつわる人情話が並んでいるが、基本的なテーマはすべて男と女の交情だ。強い印象を残すのは女達で、逞しく生きる女が時に男を育て、時に駄目にするなど様々なパターンの関係がリアルに描かれており、男女の交わりの根源的な部分を見たような気持ちにさせられる。

江戸っ子には「分をわきまえる」という意識が強く、いくら相手のことが好きでも、身分が釣り合わない場合には身を引く、それがお互いにとって幸せだと考えていたようだ。ただしそれが尾を引いて、めそめそするわけではなく、特にその後は割り切って生きる女達の姿は爽やかだ。

12編の短篇全てに男女の深い関係が描かれており、面白くて、ほろりとさせられて、そして考えさせられる作品揃いである。
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ringmoo トップ500レビュアー
形式:単行本|Amazonが確認した購入
講釈師から講談速記になり名をなした悟道軒円玉を中心に、そこに居候する信吉を語り手に、その周りに集まる人たちを一人一話で物語る十二話の短編集です。

大正期の東京の下町を舞台に、今なお残されている「人情」を描き切っています。

どの一編も素晴らしいのですが、個人的には第一話の「紅梅振袖」が最も気に入りました。
振袖衣装の刺繍では名人と言われるほどになった友次郎の隠された純真な思いが描かれています。
彼には一緒にはなれないことを承知の上で、そのお嬢さんの結婚式に来てもらおうと、振袖を渾身の思いで縫っていたのです。
この思いを受け止めるお嬢さんの態度も素晴らしいと思います。
そして、ラストの持って行き方の上手さ。
素晴らしい短編です。

その他の十一編の短編のどれを読んでも、心を揺すぶられる作品ばかりです。
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