わざと縛りを効かせた設定、専業主夫(男で家にいる)娘1人、奥さんは働きに・・
”知的”好奇心が強い、「博識」(偉そうということではなく)な主夫が、”こそっと”謎に挑む。
たとえ事件(人が死ぬなど)でなくても、小さな「何故」も、解き明かされ「なるほど」となれば、ミステリー。
これは、結構むずかしいもので、殺人、失踪、国家機密とは対称的な小さな世界の話なので、荒っぽい、勢いに任せては壊れてしまう。
作者は、前作『天才たちの値段』から、引き続き、綿密な構成力で、作品を成立させている。前作より、読みやすい。
読者が既に、持っている知識だけで、解決することはなく、例えば、その商品の歴史であるとか価値についての情報を、文章のなかで読者にさりげなく教示しながら、ストーリーは進んでいく。そのマニアックさ、この作品の魅力になっている。
決して、パワーで、押し切るタイプの作家ではない、丁寧な作りに好感が持てる小作品集になっている。
職人気質が好き、ディテール好き、知的なことが好きで、ちょっとほっとしたい方には、お薦めします。
蛇足だが・・
この話の娘”つばめ”はいい感じに、多感な少女の好奇心を発揮しているのだが、最初の作品の冒頭で丁度13歳になったばかりの設定、実は、昨日うちの娘も丁度13歳(11/7)になったので偶然の一致にちょっとびっくり。でも、うちの娘はボーっとしたタイプなので、つばめのようなタイプなら父親も気をつかうだろうな−という思いに・・