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人体部品ビジネス―「臓器」商品化時代の現実 (講談社選書メチエ)
 
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人体部品ビジネス―「臓器」商品化時代の現実 (講談社選書メチエ) [単行本]

粟屋 剛
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)

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出版社/著者からの内容紹介

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心臓弁が6950ドル、アキレス腱は2500ドル。提供された人体組織を加工して急成長するアメリカ産業。刑務所や病院を舞台にしたフィリピン、インドの腎臓売買。いまや臓器が「商品」となり、脳死体は「医療資源」と化す。テクノロジーと資本主義の行き着く果てを見つめ、倫理を問う。

内容(「BOOK」データベースより)

心臓弁が6950ドル、アキレス腱は2500ドル。提供された人体組織を加工して急成長するアメリカ産業。刑務所や病院を舞台にしたフィリピン、インドの腎臓売買。いまや臓器が「商品」となり、脳死体は「医療資源」と化す。テクノロジーと資本主義の行き着く果てを見つめ、倫理を問う。

登録情報

  • 単行本: 260ページ
  • 出版社: 講談社 (1999/11)
  • ISBN-10: 4062581698
  • ISBN-13: 978-4062581691
  • 発売日: 1999/11
  • 商品の寸法: 18.8 x 12.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本|Amazonが確認した購入
臓器移植の倫理的問題をめぐっては、法学者、哲学者、医学者、生物学者、患者団体、ドナーたちが、それぞれの立場、識見から、意見を表明している。それらは確かに傾聴に値するが、ただひとつ抜けていた視点がある。それは、臓器売買の当事者たちの視点である☆筆者は臓器売買のメッカであるフィリピンとインドで、ドナー、レシピエント、コーディネイター、ドクターから聞き取り調査を行い、ありのままの現実を提示している☆日本とまったく社会構造の異なる国で、日本と同じ倫理観を適用することは不適当であり、臓器売買は、強いて言えばインドやフィリピンの社会構造に原因があるのだと筆者は言う☆臓器移植は論理的には人肉食である。人肉食は有史以前から世界中で行われてきたが、近代文明の到来とともに姿を消した。しかし、それは形を変えて臓器移植(血液製剤や培養組織利用を含む)という形で復活しつつある☆人間の尊厳とは人体の尊厳とイコールなのか、人体とはモノなのか、考えるべき点は多い。著者が性急に結論を出していない点が好感が持てるが、工業における「環境コスト」に相当する、移植医療の「道徳コスト」とは具体的に何なのかを解説してもらいたかった。
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By 罵詈雑言アラメンド VINE™ メンバー
形式:単行本|Amazonが確認した購入
最近、臓器移植や臓器売買に関する本を適当に見つけては読んでいる。

本書はそういう類の他著に参考文献として記載されていて、著者の粟屋剛氏をネット検索すると医事法と生命倫理を専攻する大学教授であり、ネットに掲載されている文献を読むと臓器売買に関する調査が極めてリアルである。

そこで、既に絶版(たぶん)となっている本書をamazonマーケットプレイスで入手し、読んでみた。

本書は1999年11月に出された12年も前の本であるから、現在の状況とは大きく異なっている部分もあると思うが、内容はすごい。

◆第1章はアメリカの移植用心臓弁加工会社クライオライフ社の取材である。移植用心臓弁とは、死体から心臓弁を採取し加工し、冷凍保存することで長期間保存を可能にした物。当然、心臓弁に異常がある人への移植用に用いられる(本書出版当時の話なので、今はどうだかわからない)。これは角膜移植に近い移植で、臓器移植とは捉えられていない。(本章では角膜移植は臓器売買にあたる可能性を示唆している)

◆第2章はフィリピンでの臓器売買の実態調査。
マニラ市街にあるモンテンルパ刑務所(「バタス」という本の著者が入所していた刑務所である)では、なかば公然と臓器売買が行われていた。死刑囚が腎臓を一個売ると(書類上は善意の贈与)減刑=死刑回避を期待できる。囚人の臓器売買はシステマチックになっており、書類上は善意の贈与でも、囚人には謝礼が支払われる。その売買契約書は警務所内病院がひな形を用意している。
また、臓器売買を推奨する医師へのインタビューも掲載されている。臓器は個人の所有物であるのだから、臓器売買をするかしないかを決めるのは個人の意志である、と言う考え方である。

◆第3章はインドでの臓器売買の実態調査。
デリー、ムンバイ(昔のボンベイ)、コルカタ(昔のカルカッタ)、チェンナイ(昔のマドラス)で調査を行い、
(1)臓器売買ブローカーがすべてを取り仕切るブローカー主導型
(2)病院がドナーと患者を集める病院主導型
(3)患者が新聞広告などの手段でドナーを集める患者主導型
の3タイプに分けられることを突き止める。

臓器を買いに来るのは金持ちのイメージがあるが、例えばアラブ人の場合はアラブの金持ちばかりが来るのではなく、それほど収入の多くないレバノンの一般市民なども多数来ている。

インドでも臓器売買積極的賛成派の医師や弁護士などがおり、そういう人物へのインタビューも掲載されている。

◆第4章以降は、どちらかというと生命倫理の話が中心となり、ルポとしての要素は薄くなっていく。
臓器売買を考える一冊の本としてはまとまっている構成なのかも知れないが、ルポ要素だけで一冊の本の仕上げることが出来るくらい濃密な取材なので、生命倫理に踏み込んでいったのは勿体ない感じがする。

◆本書のルポは今まで読んだ臓器売買に関連する本の中でも、最も価値が高い。著者粟屋剛氏は本書しか書籍を上梓していない。論文はかなりの量を発表しているようだが、できることなら、もっと本を書いて欲しい。
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形式:単行本
臓器売買の問題について考えるにあたって倫理は非常に重要であるが、本書ではこの倫理というものをはずして考えたらどう見えるか、という視点で実態が淡々と描かれていく。第五章では、合理的に考えれば「なぜ人体を利用するのだろうか。論理的には、たまたま利用可能であり、しかも有用であった(ある)から利用した(する)ということにすぎない」(171)ということになるが、「少なくとも、経済学が環境コストをゼロと計算し、その結果、環境破壊が起きたように、医学や生命科学が「道徳コスト」をゼロと計算し、その結果、「道徳」破壊が起きつつあるということを自覚しなければならないだろう」(183)とも述べる。本書の極めつけは補論のカニバリズムである。人間が人間の血を飲み内臓を食べることと、輸血や臓器移植を受けることとの間には本質的な違いはない。著者は合理的な思考を突き詰めるという非常に丁寧な方法を用いることによって、結局は、臓器移植や脳死身体の各種利用に対して警鐘をならしているのだと思う。
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