「人体の不思議展」の仕掛け人、ハーゲンス博士による解剖学講義。初心者向けだが、解剖学者も見る機会の少ない箇所の解剖をも、含んでいるらしい。至って真面目な内容。
献体は、状態保存の為に注入した合成樹脂で、所々、濃い赤に染まっている。だが、生体と同じ色の皮下脂肪や、柔軟性を保った臓器など、かなり生前の状態に近い印象。顔だけはマスクで覆われている。献体は勿論、全裸の男女モデルにも、修正はかかっていない(尤も、妙な期待に沿うほどのものは映っていないと思うが)。
難点は、カメラの切り換え。時々、余計な時に観客の表情や、引きの映像になり、多少、ストレスを覚える。解剖は意外と重労働で、博士が息を切らせたり、てこずる場面も散見される。各回49分という時間的制約もあって、複雑な人体の構造をよく理解するには、何度か観る必要があるだろう。観客とのQ&Aは、回答がややそっけなさ過ぎると感じる時も。
監修者で、博士の友人という養老孟司氏によるブックレットは、六ページのエッセイ。ハーゲンス博士の紹介や、解剖学の概略の他、解剖学が、現代人の意識から排除されがちな「自然としての人体」を露わにし、「死の壁」の向こう側を覗く窓になる事への期待、といった主旨の文章。実は養老氏自身も、解剖に慣れるのに時間がかかったらしい。その抵抗感と向き合う中で、今の養老氏が人格形成されたのだろうか。
映像特典は、各巻に収録された、全四巻の予告編で、販売元のサイトにアップされているものと同様。特典というより、バラで買った人向けの宣伝。日本語字幕はオン/オフ切り換え可能。出来れば、吹き替えも入れてほしかった。