小谷野センセは確か「女にもてない」ということを旗印にして、世に出た人と記憶するが、こんな風に、重箱の隅をいじいじとほじくるようでは、そりゃもてないだろうね。成績がいいだけで、他の「男の子の見せ場」が全くない人の劣等感を、しち面倒くさく説明しなきゃわからないようでは、この種の本ははじめから読まないほうがいい。
そもそも吉行というひとは、そういう野暮な説明を極限まで削って、事実を淡々と連ねることによって、その行間のニュアンスを雄弁にする手法を使った作家であり、その機微がわからないのでは、思案の外である。
高みの鳥さんは、その辺のところを、心優しくも、やんわりと指摘しているのだ。
本書は、機微がわかるひとにとっては、押し付けがましくない示唆に富んだ「評伝読み物」として、出色である。