金融市場の推移を予測できる経済学者はひとりもいなかったが、
物理学者であれば、それがある程度まで可能になるかもしれない、
と本書の著者、マーク・ブキャナンは言います。
つまり、社会を物理学的な視点で眺め、
人間を「原子」と見立てるのならば、
そのような社会的な難問の解決の糸口が見つかるかもしれない、
というのです。
本書ではまた、人種差別や少子化の原因、
金持ちがますます豊かになる理由など、
さまざまな問題に隠された驚くべき事実も明らかにします。
大ヒット作『複雑な世界、単純な法則』(草思社)の著者が贈る
世界観が変わること間違いなしの話題の書です。
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7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
単純な法則,
By 食いしん坊 (横浜市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 人は原子、世界は物理法則で動く―社会物理学で読み解く人間行動 (単行本)
サイエンスライターのマーク・ブキャナンの新作。人を原子と考えて、パターン、組織的構造、形態のレベルに注目するのことが、複雑な社会を理解するカギになることを解説する本です。 著者の信念は、「科学とはごく少数の決定的に重要な要因に左右されるもの」であり、「極端 なまでに単純化したモデルによって複雑な物事の核心にせまることができる」というもの。前 作までの自然現象への適用から更に進み、本作では人間社会にまでその対象を広げていきます。 著者は言います、「人間には社会の纏まりを支えて人々をつなぐ複雑な網状組織を作り出す相 互作用を巧みに処理する能力がある」、そして、「この網状組織こそ、社会に多様性を与えて いる源泉である」と。思いやり、富の集中、人種差別、企業の盛衰、ユーゴでの大量虐殺。パ ターンに注目することでこれら人間社会の様々な現象に対する理解が深まることを示してくれ ます。 社会的世界が複雑なのは人間が複雑だからという固定観念を疑うことを教えてくれる本です。
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
これからの社会科学のあり方を根本から変える可能性がある本である。,
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レビュー対象商品: 人は原子、世界は物理法則で動く―社会物理学で読み解く人間行動 (単行本)
経済学に代表される社会科学は、ニュートンにはじまる自然科学があまりに精緻で美しくできていたためにこれを人間社会にも取り入れて発展してきたものであるとされている。しかし今、その社会科学の行き詰まりはいたるところに現れている。 そもそも、その前提条件としている人間は決して間違いを犯すことなく、利己的な目標を追求し続けるというもので、現実の人間や社会を現したものではない。ここに、経済学の大きな誤りがある。 本書は、全く異なる視点から、その人間の行動を分析している。 マンデルブロによれば、株をはじめとする価格変動のある市場の価格分布に見られるのは、統計学のベル型カーブではなく、より幅の広いべき乗の分布であるという。ここに、統計学の予測を超えた価格変動が見られ、あのノーベル賞学者を擁したLTCMでさえ予測できなかったような事態が発生するのである。 さらに、一国の中で、富める者の割合も「べき乗」であるという。すなわち、どんなに平等な社会を作ろうとしても、金の流れを考えたとき、ある一定の割合で金持ちは発生するというパレートの実証を紹介している。ここで現れる数式は、マンデルブロの「べき乗」である。 この事実を説明するのに著者は、ミシシッピ川をたとえにあげ、一つの川に流れる水量と川の数が比例しその算式も、「べき乗」である。 この「べき乗」は、不思議なことに至る所に現れる。 すなわち、人間の行動は、大きな流れでみると自然法則の中に収まるというのが本書の主張である。 複雑そうに見える人間社会も、実のところパターンで解析できるという本書の主張はユニークであり、当を得ている気がする。 これからの社会科学のあり方を根本から変える可能性がある本である。
7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
べき乗則で社会現象の解説を試みる,
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レビュー対象商品: 人は原子、世界は物理法則で動く―社会物理学で読み解く人間行動 (単行本)
著者の『歴史の方程式(歴史は「べき乗則」で動くで再出版)』『複雑な世界、単純な法則』に続く「べき乗則」の本です。本書では「べき乗則」を社会現象にあてはめ、(著者が選定した)社会現象は「べき乗則」で説明できるとし、様々な解説を試みています。 既存の社会科学の成果では社会現象をモデル化することはできないと結論づけ(いいすぎの感はありますが、確かに動的なモデル化はできていないようです)、物理学の知見である「べき乗則」を社会科学でも上手く活用すべきと提言しています。 実際に本書で提示された社会現象では「べき乗則」は上手く当てはまりますし、経済学ではブライアン・アーサーらが複雑系理論を取り入れることに孤軍奮闘していますので、社会科学の世界ではこれからもっと注目され、研究が進んでいくのだと思われます。 社会現象の複雑性はもともと人間の複雑性に起因するとされてきましたが(これからもそうだと思いますが)、人間の複雑性を持ちださずに説明できる部分があるのであれば、それはそれで秀逸な知見なのだと思います。 ただ残念なのは、社会現象が「べき乗則」で説明『できる』ことは説明していますが、『なぜ』「べき乗則」となるのかや、「べき乗則」を『いかに』政策に活かしていくのか、については説明がありません。 社会科学は社会現象を理解するだけでなく、よりよき政策を立案することも目的でしょうから、このあたりの解説が欲しかったところです。 それでも取り上げられた社会現象については見事に「べき乗則」でモデル化できているようですので、本書はそれだけでも価値あるものといえるでしょう。
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