日本語の題から予想する内容をはるかに凌ぐ蘊蓄とデータ満載の、
索引形式ではないものの百科全書と言えます。それほど人のセックス
に関する情報が詰まっています。目次が内容をよく表しているので
ある程度索引の役目も果たしてはいます。英語の原題はHow Sex Works
で、こちらの方が本の内容をよく表していて、編集者・翻訳者には申し
訳ないですが、内容がよいだけにそれが多分伝わらないのは残念です。
ですが、内容が抜群なので星五つです。
著者は生理学を専攻し、その後神経遺伝学、人の進化の研究者となった
男性。副題の「進化のための遺伝子の最新研究」はそのためと思われま
すが、内容は人のセックスにまつわる解剖、生理学にとどまらず、歴史、
民族、文化、心理、病気、医療にまで及んでいます。
多分、表向きには「遺伝子と進化」に無理に内容を集約しようとした
ためこのような日本語の題になったと思われます。元々内容の本流は
「どのように」(How)なのに、論議が多く面白い、けど想像の域を出な
い進化にその理由を求めて各項目をまとめようようとしたため、「なぜ」
(Why)への推論が最終的に登場し、日本語の題となったのでしょう。
どれもうーんと唸らせますが、そうかなと納得できない「なぜ」もあり
ます。たとえば、女性のお尻にはなぜ脂肪が多いのかは、出産・育児の
エネルギー貯蔵のためと結論づけていますが、下記の本が述べている
ように、また本書でも恥骨へのクッションとして脂肪があると言っている
ように、クッションのためでしょう。
このように読者自身の自説を老若男女わいわいがやがやと開陳するの
にも役に立つ本です。
左門 新
三つ星レストランには、なぜ女性シェフがいないのか 女はなぜ素肌にセーターを着れるのか