きらめく色彩の図案絵が、見るだけで動き出す。回転し、拡大・縮小し、平行移動し、波打つことさえある。静止平面に、ある規則で彩色図を描くと、我々の眼と脳が、その図が動いていると知覚する。これは、◎「錯視」と呼ばれ、最初の段階で、間違った知覚らしい。○正しい知覚のメカニズムを使っていながら、最終的に間違えた知覚である「だまし絵」、○同じ錯視だが、チカチカし活動的な印象を与える「オプ効果」とは違うようです。
錯視には、○形が違ったように見える、線だけで表現できる「形の錯視」、○「動画の錯視」、○「明るさの錯視」などがあります。本書は、特に○「止まっているものが動いて見える錯視」を、扱っています。この動きが見えない人も5%ほどいるらしい。また動く絵は、今も新種が創作されており、その理論付けは、一部を除き未だ十分には、されてはいないようです。
’79に、フレーザーとウィルコックスにより『nature』誌に発表され、その後、コンピューター作画の発展で、実例が増加。著者は、それらを8種に分けています。○タイプ1:輝度のグラデーションを描くことで起こる。○タイプ2a:濃淡2種の灰色があり、その間に 黒か白を挿入して起こる。○タイプ2b:黒と白があり、間に濃か薄かの灰色線を挿入して起こる。○タイプ3:明るさの異なる2領域を並べると起こる。これら全てが、△暗→明の方向に動いて見える △明→暗の方向に動いて見える2種に分けられます。複雑に見える動きも、この基本型に還元できるそうです。
頁を最初に開いた時は、クラクラし、目に疲労を感じました。図も、すぐには動きません。それでも著者の指示に従っていくと、図は動き出しました。しかも一度動くと、次には注視しなくても動きます。知覚の錯誤理由を冷静に訊ねるより前に、美しい図柄が、勝手にガクガク動き、波を打ち、光輝く、めくるめく不思議舞台に、魅了されてしまいます。