前作「ナポレオンに選ばれた男たち」の続編とでも言いましょうか、今度はナポレオンを裏切った男たちを7名取り上げています。そのうち、ミュラ、ベルティエ、マルモンの3名は前作と重複していますが、それだけナポレオンの運命に関わったということなのでしょうか。
この著者の一連のナポレオン作品はほとんど読んでいます。正直当たり外れはあるのですが、この作品は当たりでした。
私がこの作品で関心した理由は3つ。
1.原典となる資料をよく調べているらしいこと(外国語に疎いわたしは、それだけで羨ましくなる)。
2.調べた資料(筆者、典拠)を引きつつも、自分なりの考察・判断を加えていること。
3.女性ならではの鋭い観察で、心理的な考察を加えていること。
1と2は男性作家でも出来るのですが、3については女性ならではの観察力が大きく、男性作家では難しい感性だと感心した次第です。
具体例をひとつ挙げれば、マルモンに対する考察です。マルモンが裏切った原因は、ナポレオンによる評価の低さがあった為、とし、すでに仏人研究者が述べている典拠を示しつつ、それに加え、風采も育ちも教養も低かったナポレオンのマルモンに対する嫉妬のせいではないか? と自身の見解を述べています。男性の嫉妬を女性の感覚で語っている。さすがにそれは当てはまらないのではないかと感じましたが、いっぽうでなるほど女性の見方は男にはないなと感心させられました。男の論理では判断できない部分を女性的な感覚で言い当てているのかもしれません。
こうした観察眼は歴史好きにはたまらないところではないでしょうか。