「人生の意味と目的」を問題にしている第一章のみレビューする(全体は四章からなる)。
時間―空間、現在―過去―未来、有限性―無限性、外部―内部、全体―部分、個―関係、偶然―必然などの古典的概念装置が駆使されていて、それなりに私たちの「心的現象」を上手く説明しているように思えた。
著者の基本的スタンスは「『人生全体』には、あらかじめ与えられた意味や目的など一切存在しない」(48頁)である。しかし、私たちは、人生の外部から意味づけはできないが、内部にそのつどの部分的な意味や目的を見出している(51頁)。このように「できるだけ日常性にかまかける」(82頁)のは一つの対処療法であり、「生きる意味や目的とは、・・・人生全体の中の個々の部分において、それぞれの人が自ら仮構し、創り出すものである」(83頁)。
以前、五木寛之の『人生の目的』を読んだが、同じスタンスであった。こういう考え方は現在巷に溢れすぎている。ここまで常識的なことを言われると、たとえ怪しくても「スピリチュアル」なものが欲しくなってしまう。
なお中島義道批判(56頁)は全く同感、小浜氏は中島氏と違ってはるかに真っ当な教育者に違いない。