サブタイトルにあるように本書は「自分さえよければ」の利己性と相手を思いやる利他性がテーマになっています。
それに関与する脳内の領域がどのあたりにあるのかを示唆する機能的MRIを用いた脳科学的(?)研究の知見や、利己主義・利他主義が数式としてどんな風に表されるかといった論文の内容が、門外漢にもわかりやすいように噛み砕いて紹介されており、それに著者の臨床的な知見も加味した考察を少々付け加えながらまとめてあるといった感じです。
本書は7章に分けて書かれていますが、ハイライトは第4章なのではないでしょうか?
全体の3分の1弱がこの章に当てられていますし、個人的に一番興味深く感じられたのもこの章でした。
そこには上記の脳画像や数式の研究の紹介に加え、精神科臨床でも話題に上ることが多いセロトニンと利己性・利他性との関連について調べた研究も取り上げられ、それに著者の臨床経験に基く所感も添えられています。
著者の臨床経験をもう少し掘り下げて、利己性・利他性と抗うつ薬のSSRIなどの関係についてもっと深い議論があればなお良いと思いました。