扉裏の記述によりますと、本書がニューヨークではじめて出版されたのは、1928年です。80年以上も前の書物を邦訳し出版してくださった、小森 健太朗さんとみすず書房さんに対し心からの謝意を表したいと思います。
本書は、聖書に登場する人物による、仮想の「証し」集といったような趣向の内容を持っています。洗礼者ヨハネ、マグダラのマリア、ザアカイ、バラバ、ルカ、マタイ・・・等々、さまざまな人物が語るイエス・キリストについての思い出話が、ジブラーンの筆致によって豊かに描かれています。
ジブラーンのイマジネーションに拠るところが大きいため、必ずしも聖書に準じた内容ではない部分もあるかと思いますが、本書に収められている一つひとつの「証し」を、当時イエス・キリストに出会った一人ひとりのありのままの物語として、今もそっと大切にしておきたいなぁ・・・読み手にそう思わせてくれる素敵な本だと思います。