経済学でよくでてくるトレードオフの入門書。初めて学ぶ人でもわかるように、数式などはいっさい使っておらず、かわりに多くの事例を挙げている。どれもわかりやすい事例だ。政策や企業の意思決定においてトレードオフの考え方はよく利用されるから、基礎的な理論を知っておいて損はないと思う。読み物としてもおもしろい。また、トレードオフは考え方としては、分かりやすく便利だが、現実に当てはめるとなると、かなり恣意的なものになる危険が大いにあることも本書から理解できる。国土交通省がやってる道路の費用便益分析がいい例。便益が費用を上回るようにつくられているから、どの道路もつくったほうが社会全体の厚生は高くなることになる。なお、経済学は基本的には、この社会全体の厚生を最大化することしか考えていない。そのため、田舎に職がなければ都会に引っ越せばといった「人でなし」の発言がでる。つまり、「人でなしの経済理論」は、トレードオフに限ったことではない。