最近、成功した女性経営者やセールスウーマンの本で、顔写真をどどーんと表紙に持ってくるものが、けっこう多い。出版社の戦略もあるのだろうが、せっかくいい内容の本が、半ばタレント本化し
逆に反発を招いたりするようだ。
和田裕美さんの過去の本も、そういうものがいくつかあった。
本書は帯に控えめな写真がある程度。カバーデザインも地味だ。
また、本書はこれまでの和田さんの本の中でもエッセンスが詰まっているという感じである。内容はきわめてシンプル。つまり、
人間はひとりでは生きられないのだから、どうせ生きるなら周りの人を好きになったほうが生きやすい。それは、こちらが好きになれば相手もこちらを好きになってくれるからだ――
ということだ。
たとえば「好き好きブーメラン」の話など、いかにもこの人らしい。要するに「あなたが好きですよ」というブーメランをぶんぶん飛ばしていると、そのブーメランはちゃんと自分のところにかえってくる……と。
ビジュアルで売れたように思われがちだが、この人の考え方はきわめて当たり前で、しかも地味で誠実だ。セールスウーマンとして成功したのも、テクニックではなく、いい人間関係をつくって、ファンをつくることを中心に据えたからだろう。
人を好きになりましょう。人を受け入れましょう……そういうベースの上に、
「苦手な人に会ったらまず笑おう」とか
「上司にむかついたらあだ名をつけてしまおう」といった、
小さな小さなヒントが積み重ねられているのが、この本である。
コミュニケーションに悩んでいたり、今よりもっといい人間関係をつくりたいと思っている人は、斜め読みでもいいから読んでみてほしい。
意外なほど「そうそう、そうなんだよなあ」「へえ、そうなんだ」といった気づきが多く、
傍線がどんどん増えていく、不思議な本だ。
いいコミュニケーションのためのヒント集として、お薦めの一冊である。