法学者による裁判論は世間にあまたあるだろうが、社会心理学者によるそれは数少ないと思われる。本書はその稀有な例である。
とはいえ、社会心理学に大きく偏ったものではなく、基本的な論点や歴史的な事実には十分な目配りがなされている。例えば、参審制と陪審制の違いと、そのい背後にある考え方の相違などを明晰に分析しているのである。また、社会にとっての裁判の意義や、近代社会が前提とする自由や主体性などにもつっこんだ考察が見られる。本書はだから、「裁判」をめぐる諸言説の集約といってよいだろう。
「裁判」について関心があるむきにとって、読んで損はない。