大好きな水野克比古さんによる京都の禅寺ばかりのお庭の写真集です。一つ一つ眺めているだけで京都観光をしている気分になりますし、ベストショットですから、アマチュア・カメラマンには構図のお手本にもなると思います。
表紙を飾る有名な龍安寺の方丈庭園「虎の子渡しの庭」の雪景色は素晴らしいものでした。モノトーンの写真には静けさと幽玄さが漂っています。42ページからは、満開の枝垂れ桜をバックに枯山水庭園が凛とした姿を披露しています。鏡容池庭園の睡蓮、菖蒲からは舟遊びを楽しんだ大宮人の姿が彷彿とするような景色でした。
建仁寺の雪の「潮音庭」は小堀泰巌管長設計の昭和の庭ですが、柱が額縁のような趣を施しており、見惚れてしまいます。
鷹峯の源光庵の丸窓「悟りの窓」と角窓「迷いの窓」から切り取られた見事な紅葉は一見の価値があります。
宝巌院の「獅子吼の庭」の紅葉は京都でも指折りの華やかさを伝えています。高台寺の方丈南庭「波心庭」と見事な枝垂れ桜のコラボは京都の春の妖艶さを演出していました。
サイズもハンディで、場所、電話、拝観時間、拝観料などのデータや交通アクセス、お寺の簡単な由来などが掲載されており、親切な編集になっています。外国からくる観光客に分かるよう英文も併記されていました。
どのページを開けてもため息がでるほど素晴らしいショットで埋め尽くされていました。禅寺の庭には自然界の美しさを再現し、その中には宇宙観のような思想までも込められています。日本人の美意識のエッセンスなのでしょうか。