知っている人には説明不要かと思いますが、有名サイト「東京カフェマニア」の主宰者の、川口葉子氏が書いた、京都のカフェ本です。
本書に紹介されているお店一つ一つに、お店の由来や成り立ち、店に関わる人の思いや歴史等々が、氏のカフェへの愛情や見識を織り交ぜつつ記されており、単なるカフェ・喫茶店のグルメ本とは、明らかに一線を画すものです。地元の人でも、ここまで、お店のことを掘り下げて知っている人は少ないのではないでしょうか。
で、本書を参考に、実際に幾つかのお店を訪れてみました。気づいたことが一つ。
本書の内容は、カフェをこよなく愛する好事家(?)という氏の立場から、その視点と主観に立脚し一方的に書かれたもので、冷徹なる消費者目線の批評は含まれていない、ということです。
平たく言えば、「いいことしか書いていない」ということです。
私が実際に訪れてみると、例えば、珈琲をオーダーしてから出てくるまで30分かかる店、ちょっと風が吹くたびに、ドアがガタガタと大きな音を立てる店、ソファーの布がすり切れている店、客が座りたいと言っている席に座らせてくれない店、等々、
客の立場から見たら「えっ?こんな店なの?」と落胆してしまうことが、
しばしばありました。
本書のあまりにも素晴らしい紹介文、その内容を、店の全てと思ってしまうと、いざ店を訪れたときに、期待と現実の落差という、会いたくないものに会うと思います。
ただ、そういう面はありつつも、本書が卓越した京都のカフェ案内本であることは疑いようもなく、カフェが好きな方、京都が好きな人は、是非本書を購入して頂き、京都のカフェに思いを馳せ、また、お店を訪れて頂きたいと思います。
この値段がバーゲンプライスに思える、内容の濃い一冊です。