「大文字送り火の名残炭」の0円から始まり、「『祇園さヽ木』の夜膳」の13000円まで、著者がお買い得だと思ったものを集めてコメントしたものです。45円の「京家コロッケ」、「満月」の阿闍梨餅の100円というリーズナブルな商品は人気のあるものです。
『京都の値段 その2』ですから、続編にあたります。京都の名品や料理、旅館の宿泊費などを値段順に掲載し、柏井壽氏の見識豊かなエッセイが添えられている本です。見開きで1つのお店やモノが紹介され、右に文章、左に写真という体裁で統一されています。ハリー中西氏の写真も工夫が凝らしてあり、眺めているだけで飽きません。
京都は日本を代表する観光地ですから、割高な商品も多々見受けられます。本書に掲載のものは、著者の審美眼と見識が伺えるもので、安心してお勧めできるアイテムやお店ばかりでした。
柏井氏は、京都市北区で歯科医院を開業されている生粋の京都人で、推理小説も数点出しています。京都に関する著作を何冊も表わしている方で、知識量は半端ではありません。文章は読みやすく、味わい深く巧みで含蓄のある記載で、読んでいてワクワクするような快感に包まれています。料理は自身で食べにいった経験を、また旅館は宿泊した体験を元に執筆されているわけですから、説明も実感がこもっていました。単なる京都の紹介本だけでなく、文化の奥深さも一緒に味わえるでしょう。
京都を知りつくした著者による、愛情を込めた京都のおもてなしの心が感じられるモノの紹介でした。歯医者さんの余業ではなく、京都のコーディネーターとしての本格的な解説です。一つのお店を紹介しながら、その背景に広がる歴史や文化を簡潔に記しているからこそ、柏井氏の本が愛されているのだと思います。