なぜ京都はこんなに魅力があるのか、たくさんある理由のひとつをこの中に見つけられる本。丁寧に時間をかけて綴られたのであろう文章から、京都に生きる人やその思いが心にするりと入り込む。ページをめくるたびに、ざわめく心に穏やかさが訪れる。古いものは、そのものだけが辿ってきた経緯があって、カタログ的に紹介することでは見えないものがある、と、頭ではなく心でわかっていらっしゃるんだろう。装丁や紙の質感、写真の美しさなど、文章の美しさを支えているチームワークも素晴らしい。物と自分の関わり方にそっと思いを馳せるチャンスをくれる本だと思う。