ナカムラ ユキさんが、2009年の春、開花の声と同時に自転車で京都の東西南北を駆け巡って約100ケ所の桜を追い求めた内の約80ケ所を紹介しています。
ナカムラさんが桜を深く追い求める切っ掛けになった千本釈迦堂の阿亀桜、桃源郷といえる大好きな原谷苑、斎王桜で有名な上賀茂神社、山科の毘沙門堂、「細雪」でも描かれている平安神宮の紅枝垂れ桜、京都の桜の最期を飾る雨宝院の散ったさまの風情、などは2ページ見開きで紹介してあり、穴場といえる鷹が峯の常照寺の吉野桜、桜守の佐野籐右衛門さん宅は各3ページ、旧近衛邸の糸桜などが咲き誇る京都御苑は4ページ、他は1ページ1ケ所か2ケ所といった具合に写真とコメントが記してあり、エリア別の地図も掲載してありました。巻末に索引として紹介した桜の所在地や観賞の仕方の詳細、近くのお店の情報なども記されています。
たった1シーズンの春だけで、これだけの写真を撮りきり、精力的に廻ったという行動力と熱意に感心しました。イラストレーターですので、感性の豊かさは写真からも伝わってきますし、紹介文も堅くなく親しみをもてる内容でした。
有名な桜は勿論、結構マイナーな桜も丹念に追い求めていますので、ここはと思う場所はほとんど紹介してありました。また満開の時期や状態の良いタイミングで写真を撮っていることに敬意を表したいと思います。ネット全盛ですので、桜の満開情報などの検索は楽になっていますが、実際天気の具合もありますし、一斉に咲き誇るわけですから、それを1シーズンで撮りきる難しさは十分に理解できます。それを成し遂げた努力に敬意を表したいと思います。写真も上手ですし、レイアウトやイラストも可愛いですね。
比較的拝観料がかからないところを多く紹介してあるのも好印象です。
桜の名所として有名な醍醐寺、二条城、清水寺はあえて取り上げられていないようです。定番ですが、それぞれの満開の桜は実に壮観ですので。
それ以外に取り上げられていない所として、妙覚寺の塔頭の善明院(非公開寺院ですので外から観賞)の紅枝垂れ桜はおススメですし、少し足を延ばしての八幡の背割堤の桜は絶景です。