様々な京都案内が出版されていますが、通常のアプローチとは違う観点から京都を眺め知ろうとするガイドでした。臨床心理学者の河合俊雄と宗教哲学・民俗学者の鎌田東二(いずれも京都大学こころの未来研究センター教授)の2人が、特徴のある癒しの空間に足を運んでいます。対象となった場所と語り手は、狸谷山不動院(河合)、釘抜地蔵・千本ゑんま堂(河合)、赤山禅院(鎌田)、御蔭神社(鎌田)、六道の辻(河合)、伏見稲荷大社(鎌田)でした。一般的な観光コースからは少し外れた社寺仏閣が多いので、ユニークな案内と言えるでしょう。
このような試みを思いついた理由として、河合俊雄が序章の16ページに「ふと訪れたお寺で写経をした経験、遭遇しただんじり祭りの神輿の体験が、心理療法にとってインパクトがあり、意味のあるものになるのではなかろうか。」と語っています。「癒し」はここからきています。
分担は決めているわけですが、関わった対象を語った後、もう1人が別の観点から補足していますので、多面的な捉え方ができます。専門家のコメントですから、一般のガイドブックの記載とは違い、相当深く突っ込んで書かれています。読みにくさはありますが、今まで考えなかった領域までいざなってくれますので、知的好奇心を満たしてくれる書になっています。
章立てを掲載します。
序章 癒しの伝統とリソースの再発見
第1章 山頂への旅は、心の奥への旅‐狸谷山不動院
第2章 町中に突然開ける別世界‐釘抜地蔵・千本ゑんま堂
第3章 壮大な旅を支える異郷の神‐赤山禅院
第4章 平安京のあけぼのの地‐御蔭神社
第5章 「この世」と「あの世」をつなぐ‐六道の辻
第6章 聖なる山に無数の「マイゴッド」‐伏見稲荷大社
終章 「癒し空間」と日本人