京町家ブームですが、綾小路通新町西入ルにある杉本家は町家の中でも別格の存在で、京都市内の最大規模の町家と言われています。火災のため、明治初期に建て替えられていますが、商家の建築として高い価値があり、京都市指定有形文化財ですし、重要文化財の指定もされる予定です。
本書は、奈良屋記念杉本家保存会事務局長の杉本節子さんによる京都のおかずを紹介したもので、最近ではおばんざい、という呼び方がされている京都に伝わる普段の食生活です。
本書で懐かしいおかずの作り方が詳しく紹介してあります。材料、作り方、出来上がりの料理のカラー写真がありますから、実際にチャレンジしてください。
材料は旬のものですが、質素倹約を元としています。海から遠い京都ですから、比較的地元の野菜を中心にした健康的な献立が並びます。ハレの行事すなわち正月・節句・祭礼の時の献立も紹介してありますが、杉本家と言えどもいつもご馳走を食べておられないのは、24ページに書かれています。「贅沢や派手なことを慎んで質素倹約に努めた暮らしを、しまつした暮らしというてます」その通りですね。
なかなか見ることのできない杉本家の内部の写真、調度品や食器、受け継がれた料理帳は興味深いものでした。144ページには料理歳時記が掲載してあり、京都の商家のハレの献立が分かるようになっています。明治年間の写真と当家の1階平面図など珍しい資料も所収されていますので、料理以外の観点からの興味も集まると思います。