「千總」の名前すら知らずに本書を手にとったのだが、
着物という新しい世界へ関心がかき立てられた好著である。
関係者へのインタビューから千總450年の歴史を紐解く構成となっている。
インタビューものというと兎角、著者のストーリーにあわせて
著者の意図に合わせて(都合のいいように)インタビュー内容を再構成するものが多いのだが、
本書のインタビュー部分は、まるでその現場に居合わせているような錯覚を覚えさせる。
恐らく内容も時間的順序も殆ど手を加えていないのではないかと推察する。
著者の問題意識と現場の真剣なやりとりを追体験させる意図があるのだとしたら、
目的は十二分に達成していると思う。
終章でまとめられた経営学のフレームワークも、
著者の考え方と自分の考え方と対比するいい材料提供を行ってくれている。
千總の歴史を関係者と共に紐解く一冊として、
また良質なケーススタディーの材料としても使える一冊として
本書は「体験の書」として何度も味わえる美味しい一冊になっている。