どれほどのカリスマと言われる経営者が経営しようと、どれだけの良い経営を目指したとしても、負の側面というのは存在してしまうものだ。
稲盛氏について言えば、美辞麗句、賞賛で並べられた書籍が圧倒的大多数を占めている。
経営をするに当り、そういったプラスの側面ばかりを見ていては後ろに隠された闇の部分を見過ごしてしまい、改善や改良を重ねていかなければいけない部分や足元の部分というものが分からず仕舞の独裁経営、裸の王様経営をしてしまう事になり兼ねない。
そういった意味では稲盛経営における負の部分を表に出したという事で評価のできる書物ではある。
しかし、ここに著された事がそれほどの悪なのかと言われるとそうは思えない。情けない事にこういった事は他の企業でもかなり悪質に行われている事例であるからであり、悪質度が更に高かったりする。一企業というよりも資本主義社会全体での問題であるという風に感じた。
筆者の言わんとする事は尤もな事で理解できるが、著者はあまりにも職人肌で潔癖症に過ぎる方であるように感じた。日産系(かつては労働組合が強く負け組みの象徴であった)の企業から京セラへ転職された事もカルチャーショックとなって現れて恨み節となってしまったのではないだろうか。
企業である以上、利益至上主義にならざるを得ない事であり、特に採算割れをしてしまうが未来の可能性を探る為に必要とされるような事業については、どうしても公的な資金が必要とされる所である。本書に書かれた事に関していうと通産省が出した補助要件の打出し方が元々まずかったように思う。
優良企業に隠された負の側面というものを探るには一読されても良いでしょう。